ヘンリー・オブ・バッテンバーグ

ヘンリー・モーリス・オブ・バッテンバーグの生涯

ヘンリー・モーリス・オブ・バッテンバーグ（1858年10月5日 - 1896年1月20日）は、バッテンベルク家に生まれた公子で、イギリス王女ベアトリスの夫であり、ヴィクトリア女王の娘婿として知られています。彼のドイツ語名はハインリヒ・モーリッツ・フォン・バッテンベルクです。ヘンリーは、ヘッセン大公ルートヴィヒ2世の四男アレクサンダー・フォン・ヘッセン＝ダルムシュタットと、その妻ユリア・ハウケの三男としてイタリアのミラノで誕生しました。

彼の家族は貴賤結婚として見なされ、ヘッセン大公家のあとを継ぐ権利を与えられなかったため、彼は母親から与えられた姓バッテンベルクを名乗ることになりました。両親の境遇から生まれたヘンリーは侯子（プリンツ）と呼ばれましたが、実質的には財産や所領を持たない敬称に過ぎませんでした。しかし、教育を受け、軍人としての道を志した彼は、主家を通じてヨーロッパの他の王族と関わる機会を得ました。

兄のルートヴィヒ・アレクサンダーが新たにミルフォード・ヘイヴン侯爵としての地位を築く中、ヘンリーは結婚相手を見つけました。1885年7月23日、彼はワイト島でイギリス王女ベアトリスと結婚しました。この日は女王である母ヴィクトリアによって、ヘンリーは「殿下」という称号を与えられ、彼の地位はイギリス国内でのみ有効であることが明記されました。加えて、女王は彼をガーター騎士に任命しました。

ヘンリーはイギリス陸軍の大佐としての地位を持ち、カリスブルック城の城代も務めました。しかし、彼の軍人としてのキャリアは1895年11月、アシャンティ族との戦闘に向けて西アフリカに派遣される際に終焉を迎えました。この遠征中に、彼はマラリアに感染し、イギリス領シエラレオネで病死しました。彼の遺体は巡洋艦ブレニムに乗せられ、1896年2月5日に結婚式を挙げた同じ聖ミルドレッド教会で葬儀が執り行われました。

子女

ヘンリーとベアトリスの間には4人の子供が生まれました。長男のアレグザンダー・アルバート（1886年 - 1960年）は、1917年に家名をマウントバッテン家に改称し、同年11月には初代キャリスブルック侯爵に就任しました。次女のヴィクトリア・ユージェニー・ジュリア・エナ（1887年 - 1969年）はスペイン王アルフォンソ13世の妃となり、フアン・カルロス1世の祖母です。三男のレオポルド・アーサー・ルイス（1889年 - 1922年）は、血友病により短い生涯を終えました。末っ子のモーリス・ヴィクター・ドナルド（1891年 - 1914年）は第一次世界大戦で戦死しました。

ヘンリー・モーリス・オブ・バッテンバーグの人生は、家族の背景と結婚を通じて、イギリス王室と深く結びついたものであり、短命であったが貴い人生を送った公子として語り継がれています。

もう一度検索