ヘンリー・カットナー

ヘンリー・カットナーの生涯と業績

ヘンリー・カットナー（Henry Kuttner、1915年4月7日 - 1958年2月4日）は、アメリカの著名なSF作家で、カリフォルニア州ロサンゼルスに生まれました。彼は1936年に「ウィアード・テイルズ」誌に発表した短編「墓場の鼠」で作家デビューを果たし、その後、数々の作品を世に送り出しました。カットナーは1940年に作家のC・L・ムーアと結婚し、オリジナル作品や共著作品を多数発表しました。

共同執筆のスタイル

カットナーとムーアは、1940年代から1950年代にかけて多くの小説を共著しました。特に「ヘンリー・カットナー＆C・L・ムーア」や「ルイス・パジェット」、「ローレンス・オドネル」といったペンネームでの作品が知られています。彼らの共同作業は非常に密接であり、作品完成後にはどの部分をどちらが書いたのかを判別するのが難しいこともあったそうです。L・スプレイグ・ディ・キャンプは、彼らが互いに文章を引き継ぎながら、まるで一人の作家が書いたかのように仕上げていく能力についても言及しています。

カットナー名義での作品には、特に「ギャロウェイ・ギャラハー」シリーズがあり、これは彼の最も人気のある作品の一つです。シリーズの全編はカットナーが単独で執筆したとされ、後に短編集「Robots Have No Tails」としてまとめられました。2004年には、ムーアとの共同作業により、「コードウェイナー・スミス再発見賞」を受賞しました。

映画化とその影響

2007年には、カットナーの「ボロゴーヴはミムジー」という短編が映画「The Last Mimzy」として公開され、SF作品としての新たな展開を見せました。こうした作品は、彼のクリエイティブな影響を後世に伝える貴重なものであり、カットナーのファンを増やす要因となりました。

カットナーの影響を受けた作家たち

ヘンリー・カットナーは、後輩作家に多大な影響を与えた人物として評価されています。作家マリオン・ジマー・ブラッドリーやロジャー・ゼラズニイは彼の作品からの影響を明言しており、ゼラズニイは「真世界アンバー」シリーズにカットナーの「The Dark World」の影響が見られると述べています。また、友人であるリチャード・マシスンやレイ・ブラッドベリも、彼の作品や指導によって大きな影響を受けたことを報告しています。

クトゥルフ神話の構築

カットナーはハワード・フィリップス・ラヴクラフトから影響を受け、独自のクトゥルフ神話世界を構築しました。彼が生み出した神々やクリーチャーには、イオド、ヴォルヴァドス、ニョグタ、ヒュドラなどがあり、むしろファンタジー色の強い内容が特徴です。C・L・ムーアの創作物も取り入れられ、夫人のキャラクターであるファロールも関与していることで、作品の奥行きが増しています。

日本においては、2022年に彼の全クトゥルフ神話作品をまとめた『魂を喰らうもの』という単行本が刊行され、彼の業績を広く世に伝えるきっかけとなりました。

結論

ヘンリー・カットナーは、アメリカのSF文学において重要な役割を果たした作家であり、その影響は今もなお語り継がれています。彼のユニークなスタイルやパートナーとの共同制作による結果、面白く独特の世界観が構築され、多くの読者に愛され千年を超えた魅力を持つ作家であることを再確認できます。

もう一度検索