ヘンリー・シーボーム

ヘンリー・シーボーム：製鉄業経営者にして情熱的な鳥類学者

ヘンリー・シーボーム（Henry Seebohm, 1832年7月12日 - 1895年11月26日）は、イギリスのブラッドフォードで生まれました。彼は製鉄業の経営者として成功を収める傍ら、アマチュアの鳥類学者、特に鳥卵学の研究者として名を残しました。

生い立ちと経歴

シーボームの父はドイツ出身の羊毛商人であり、母はイギリスの実業家ウィリアム・トゥークの孫でした。彼は当初、食品の商売に従事していましたが、後にシェフィールドへ移り、製鉄業に携わることになります。多忙な日々を送る傍ら、彼は余暇を利用して世界各地を旅し、鳥類の研究に情熱を注ぎました。

鳥類研究への情熱と探求

シーボームは、ギリシャ、北欧、トルコ、南アフリカ、日本、シベリアなど、広範囲にわたる地域を旅行し、熱心に鳥類を観察・研究しました。特にシベリアへの旅は彼の研究に大きな影響を与え、エニセイ川流域の探検や、ジョン・アレキサンダー・ハービー＝ブラウンとのヨーロッパ・ロシア北部のペチョラ川への旅行は、貴重な研究成果をもたらしました。また、鳥類学者ハインリッヒ・ゲートケが住むヘルゴラント島へも足を運んでいます。

主要な著作と研究

これらの探検旅行の成果は、数々の著作として結実しました。

Siberia in Europe (1880)
Siberia in Asia (1882)

これらの著書は、彼のシベリアにおける鳥類研究の集大成であり、没後の1901年には『シベリアの鳥類』としてまとめられ、出版されました。

その他にも、

イギリスの鳥類誌 (A History of British Birds: 1883)
チドリ科の地理的分布 (The Geographical Distribution of the family Charadriidae: 1887)
日本帝国の鳥 (The Birds of the Japanese Empire: 1890)
ツグミ科のモノグラフ (A Monograph of the Turdidae: 1898)

など、多数の著作を発表し、鳥類学の発展に大きく貢献しました。

後世への影響

シーボームの研究は、センニュウ科の鳥類であるLocustella seebohmiに献名されるなど、後世の鳥類学者にも大きな影響を与えました。製鉄業経営者としての成功に加え、アマチュア鳥類学者としての情熱と卓越した研究は、今日でも高く評価されています。

参考文献

* Woodward, BB (2004). "Seebohm, Henry (1832–1895)". Oxford Dictionary of National Biography. (Revised by Yolanda Foote). Oxford University Press. doi:10.1093/ref:odnb/25023.

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