ヘンリー・ヴィゼテリー

ヘンリー・リチャード・ヴィゼテリーの生涯と業績

生い立ちと初期のキャリア

ヘンリー・リチャード・ヴィゼテリー（1820年7月30日 - 1894年1月1日）は、イギリスの出版者であり作家で、その職業人生は多岐にわたります。彼はロンドン出生で、印刷工の息子として育ちました。ヴィゼテリーは若いころから木版の職人として働き始め、初めて彫った版木の一つに「オールド・パー」の肖像が含まれています。

1849年のカリフォルニアでの金の発見時には、すでにサンフランシスコにいて、彼の著書『California』では、金鉱脈が発見された地域での4か月間の冒険を描写しています。この作品は、彼がこの地域での経験を詳細に語るもので、彼のライティングスタイルの初期を示しています。

出版事業の始まり

1843年、ヴィゼテリーは、兄のジェームズ・トマス・ヴィゼテリーやアンドリュー・スポッティスウッドとともに『Pictorial Times』を創刊し、成功を収めました。その後、1855年にはデヴィッド・ボーグとの共同で『Illustrated Times』を立ち上げ、数年後には『Penny Illustrated Paper』と統合されました。この間、彼は多くの革新的なアイデアを生かし、印刷メディアの発展に寄与しました。

彼の弟であるフランク・ヴィゼテリーも芸術家として活躍し、南北戦争など歴史的な事件を描いた画家として知られています。

海外での活動

ヴィゼテリーは1865年に『イラストレイテド・ロンドン・ニュース』の特派員としてパリに派遣され、その期間に数冊の書籍を出版しました。その中には『Paris in Peril』や『The Story of the Diamond Necklace』があり、フランス文学の重要な翻訳を手がけました。また、彼の翻訳による『The Man in the Iron Mask』は、名作の一つとして広く認識されています。

1872年にはベルリンに転任し、ここでも『Berlin under the New Empire』などの著作を発表しました。このように、ヴィゼテリーは国際的な視野を持って活動し続けました。

出版社の設立と議論

1887年にはロンドンで自身の出版社、ヴィゼテリー社を設立し、フランスやロシアの文学作品を多数英訳して出版しました。しかし、彼の翻訳作品『大地』（エミール・ゾラ著）はわいせつとして起訴され、罰金を科せられるなど、出版界での困難に直面しました。再版時にも再び問題が起き、最終的には3か月の投獄処分を受けました。

自伝的回顧録と蔵書

彼の業績の中でも特に注目すべきは、1893年に発表された自伝的回顧録『Glances Back through Seventy Years』です。この書籍では1840年から1870年の間の文学的ボヘミアの様子をリアルに描写しています。彼の記述は、その時代の文化や風俗を知るための貴重な資料とされています。

ワインと家族

ヴィゼテリーはまた、ワインに対する深い造詣を持ち、『The Wines of the World Characterized & Classed』や『A History of Champagne』など、ワインに関する多数の書籍を著しています。さらに、彼は多くの国際的なワイン審査団に参加し、専門的な知識を活かしました。

ヴィゼテリーは最初の妻との間に4人の息子を持ち、その一人アーネスト・アルフレッドは父の手を借りていくつかの翻訳を修正しました。第二の妻エリザベス・アン・アンセルとの間にも子どもが二人います。彼の息子フランク・ホレスは辞書編纂者としての道を歩みました。

死去と評価

1894年、ヴィゼテリーはサリー州にある自宅でその生涯を閉じました。彼はその功績により、オーストリア皇帝からフランツ・ヨーゼフ勲章ナイト級を授与されました。彼の作品や業績は、今日でも文学や出版業界における重要な足跡を残しています。

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