ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女

『ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女』は、1990年に公開されたアメリカ映画で、フィリップ・カウフマンが監督を務めました。彼はフレッド・ウォードと『ライトスタッフ』以来の再タッグを組み、本作では、作家アナイス・ニンの日記を基に、パリを舞台にした愛と欲望の物語を描いています。

カウフマン監督は、1962年にアナイス本人と会見した際、映画化の意向を伝え、彼女から励ましと助言を得ました。映画製作は、監督の息子であるピーター・カウフマンが担当し、脚本は監督自身と妻ローズ・カウフマンが共同で執筆しました。

この映画は、アメリカ映画業界に大きな影響を与えました。MPAA（米国映画業協会）は、この作品を契機に、従来のX指定に代わる新たなレイティング「NC-17」（17歳以下観覧禁止）を導入しました。これは、本作がその指定を受けた最初の映画であり、その衝撃度を物語っています。

物語は、1931年のパリを舞台に展開します。国際銀行家の夫ヒューゴーの仕事でパリに滞在するアナイス・ニンは、奔放な内面を日記に綴る日々を送っていました。そんな中、別荘に招かれた無名の作家ヘンリー・ミラーと出会い、互いに惹かれあっていきます。ヘンリーは、遠く離れたニューヨークにいる妻ジューンについて語ります。彼女は、貧しいヘンリーを養うために自らの体を売ることで生活を支えていました。

やがて、ジューンがパリにやってきます。アナイスは、彼女の強靭で大胆な性格に惹かれ、愛し合うようになります。アナイス自身も両性愛者であり、三者三様の感情が複雑に絡み合い、物語は進んでいきます。

キャスト

マリア・デ・メディロス：アナイス・ニン
フレッド・ウォード：ヘンリー・ミラー
ユマ・サーマン：ジューン・ミラー
リチャード・E・グラント：ヒューゴー・ガイラー
ケヴィン・スペイシー：リチャード・オズボーン
ジャン＝フィリップ・エコフェ：エドワルド

スタッフ

原作：アナイス・ニン
監督：フィリップ・カウフマン
製作：ピーター・カウフマン
脚本：フィリップ・カウフマン、ローズ・カウフマン
撮影：フィリップ・ルースロ
編集：ヴィヴィアン・ヒルグローヴ、ウィリアム・S・シャーフ、デデ・アレン
音響効果：ジャン・ピエール・ルー
美術：ジョルジュ・グロン
* 日本語字幕：戸田奈津子

映画『ヘンリー&ジューン』は、単なる恋愛ドラマにとどまらず、人間の欲望や感情の複雑さを深く掘り下げた作品として、今もなお多くの観客を魅了し続けています。

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