ヘヴン17

ヘヴン17：シンセポップのパイオニアとB.E.F.との深いつながり

ヘヴン17は、1980年代初頭のイギリスで生まれたシンセポップ・バンドとして、その独特のサウンドと音楽性で広く知られています。その起源は、人気シンセポップバンド、ヒューマン・リーグを脱退したマーティン・ウェアーとイアン・クレイグ・マーシュという二人の才能あるミュージシャンに遡ります。彼らは、並行して活動していた音楽プロジェクト、B.E.F.（British Electric Foundation）でボーカルを務めていたグレン・グレゴリーを誘い、新たなグループ、ヘヴン17を結成しました。バンド名は、アンソニー・バージェスの小説『時計じかけのオレンジ』の一節から引用されています。

ヘヴン17の音楽は、シンセサイザーを基調としたシンセポップが中心ですが、活動後期にはギター、ベース、ドラム、ブラスセクションなども積極的に取り入れ、ロック的な要素も加味されるようになりました。これは、単なるシンセポップにとどまらない、彼らの音楽的な幅広さを示すものです。代表曲である「Temptation」を始め、数々のヒット曲を世に送り出し、1980年代の音楽シーンに大きな影響を与えました。

しかし、ヘヴン17とB.E.F.の関係は単純なものではありませんでした。ウェアーらによると、ヘヴン17はB.E.F.という枠組みの中で、グレゴリーというボーカリストを迎えることで、彼らが表現したい音楽を具現化する手段として用いられた側面があったのです。そのため、両者の活動境界は曖昧で、グレゴリーがB.E.F.のプロジェクトに参加することもあり、その場合はB.E.F.のゲストという立場をとっていました。特に初期においては、B.E.F.はヘヴン17のプロデューサーとしての役割も担っており、両者の密接な関係性が伺えます。

B.E.F.は、プロデューサーチームとしても高い評価を得ていました。ティナ・ターナーの復帰シングル「Let's Stay Together」や、テレンス・トレント・ダービーのソロデビュー作品、そしてスクリッティ・ポリッティ（実質的にグリーン・ガートサイドのソロプロジェクト）などのプロデュースを手掛けた実績があります。さらに、B.E.F.名義で多くのゲストシンガーを起用したカバーアルバムを複数枚リリースするなど、その活動は多岐に渡っています。

1988年に一度解散したヘヴン17ですが、1996年に活動を再開。その後も精力的に活動を続け、数々のアルバムを発表しています。その活動は、単なるシンセポップバンドの枠を超え、B.E.F.との連携、そして音楽的な実験を通して、常に進化を遂げてきました。ヘヴン17の音楽は、単なる懐古趣味ではなく、現代においても新鮮な刺激を与えてくれる、他に類を見ない独自のスタイルを確立しています。

メンバー

ヘヴン17の主要メンバーとして、以下の3人が挙げられます。

マーティン・ウェアー
イアン・クレイグ・マーシュ
* グレン・グレゴリー

この3人を中心に、ヘヴン17は独自の音楽世界を築き上げました。

ディスコグラフィ

ヘヴン17は、数多くのアルバムやシングルを発表しています。代表的なスタジオアルバムとして、『ペントハウス・アンド・ペイヴメント』、『ザ・ラクシャリー・ギャップ』、『薔薇のダンディズム』、『プレジャー・ワン』、『テディ・ベア、デューク＆サイコ』、『ビガー・ザン・アメリカ』などがあります。ライブアルバムやコンピレーションアルバムも多数リリースされており、その音楽的遺産は多岐に渡ります。これらの作品を通じて、ヘヴン17の音楽世界を余すことなく楽しむことができます。 彼らの音楽は、現代においても多くのリスナーを魅了し続けています。

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