ベイリー・ハウエル

ベイリー・E・ハウエルは、1937年1月20日、アメリカ合衆国テネシー州ミドルトンで生まれました。人口300人にも満たない小さな町で育ち、地元のミドルトン高校に進学。学校にはバスケットボールチームしかなかったため、自然とバスケットボールを始めました。

高校時代には、1シーズンで1187得点、平均31.2得点という驚異的な記録を打ち立て、2年連続で州のオールチームに選ばれるなど、その才能は早くから注目を集めていました。しかし、当時のハウエルはプロのバスケットボール選手になることは考えておらず、学校生活と綿花畑での労働を両立させる日々を送っていました。

多くの大学からの誘いを受ける中で、ハウエルは最終的にミシシッピ州立大学に進学。穏やかなキャンパスの雰囲気を気に入り、名門校からの誘いを断ったとされています。2年生から試合に出場できるようになると、その才能は開花し、特にケンタッキー大学戦で37得点をあげてチームを勝利に導いたことで、カレッジ界で一躍スターとなりました。このシーズンには、25.9得点19.7リバウンドを記録し、フィールドゴール成功率ではNCAA1位に輝きました。3年次にはカンファレンスのMVP、4年次にはオールアメリカ1stチームにも選出されるなど、輝かしい実績を残し、大学通算では2030得点、1277リバウンドを記録しました。

1959年のNBAドラフトで全体2位指名を受けてデトロイト・ピストンズに入団。ルーキーイヤーから主力として活躍し、2年目には23.6得点14.4リバウンドを記録。NBAオールスターにも初出場を果たし、11月25日のレイカーズ戦では、キャリアハイとなる43得点32リバウンドを記録しました。1962-63シーズンにはオールNBA2ndチームに選ばれるなど、リーグを代表するフォワードとして活躍しましたが、チームはなかなか勝てず、1963-64シーズンにはボルティモア・ブレッツにトレードされました。

ブレッツでは、ウォルト・ベラミー、ケヴィン・ローリー、ガス・ジョンソンなど多くのタレント選手がいましたが、チームの不協和音から、期待通りの成績を残すことはできませんでした。ハウエルはチームの第2オプションとして安定した成績を残しましたが、チームの成功には繋がりませんでした。

1966年、ハウエルはボストン・セルティックスにトレードされました。八連覇を達成したセルティックスは、レッド・アワーバックがヘッドコーチを退任し、チームの高齢化が進んでいました。ハウエルはチームに新しい活力を注入する役割を与えられ、エースのジョン・ハブリチェックに次ぐ得点源、ビル・ラッセルに次ぐリバウンダーとして活躍。移籍初年度には20.0得点8.4リバウンドを記録し、チームの期待に応えました。

1967-68シーズンには、セルティックスは王座に返り咲き、ハウエルはキャリア9年目にして初の優勝を経験しました。さらに翌1968-69シーズンもセルティックスは優勝し、ハウエルはボストン王朝の再興に大きく貢献しました。

33歳になったハウエルは、1969-70シーズンに成績を大きく落とし、セルティックスも王朝終焉を迎えます。ハウエルはこのシーズンを最後にセルティックスを離れ、フィラデルフィア・76ersに移籍し、1シーズンプレーして現役を引退しました。

NBA通算成績は12シーズン951試合の出場で、17,770得点9,383リバウンド、平均18.7得点9.9リバウンドでした。

ハウエルは、ガードのように得点し、センターのようにリバウンドを掴むことができる、多彩な才能を持った選手でした。当時ビッグマンの多くがゴール近くで得点する時代に、ハウエルはアウトサイドからもシュートを狙い、フックシュートも得意としていました。

引退後はコンバース社で働き、スポーツ振興のためミシシッピのスポーツ奨学金の基金調達にも力を注ぎました。2006年には、彼の名を冠したハウエル・アワード（毎年ミシシッピで最も活躍したバスケット選手に贈られる）が設立されています。

主な業績
NBAファイナル制覇: 1968年, 1969年
オールNBA2ndチーム: 1963年
NBAオールスターゲーム: 1961年－1964年, 1966年, 1967年
バスケットボール殿堂入り

外部リンク
Basketball-Reference.com
バスケットボール殿堂

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