ベクター・M12

ベクター・M12について

ベクター・M12は、アメリカの自動車メーカーであるベクター・モーターズ社が手掛けたスーパーカーです。この車両は、1990年代の初頭に発売が計画されていましたが、さまざまな事情により開発が遅れました。特に、当時ベクター・モーターズはインドネシアのセトコ・グループに対して敵対的に買収され、その結果、運営が創業者であるジェラルド・ウィーガートから、セトコ傘下のメガテック社に移管され、M12の計画は一時中断を余儀なくされました。

しかし、その後の経緯によりM12は1995年にようやくデリバリーが開始され、セトコ系列傘下で販売された最初のモデルとなりました。M12のデザインのベースとなったのは、1992年のジュネーブ・オートショーで発表されたコンセプトカー「AWX3」です。このAWX3は、先代のW8から発展した横置き7リッターV12エンジンを搭載していましたが、市販モデルとなったM12では、ランボルギーニ・ディアブロから流用された5.7リッターV12エンジンが縦置きに搭載されました。

M12の特徴的な仕様には、全長がAWX3よりも延長され、コックピットがやや前方に配置されていることが挙げられます。その性能は、0-60マイル加速（0-100km/h）を4.8秒で達成し、最高速度は時速189マイル（約304キロメートル）です。このスーパーカーのボディは、鋼管チューブラースペースフレームを採用しており、パネルには軽量なカーボンファイバーが使用されています。また、ドアのデザインには、先代W8同様にガルウイングが採用されているのが特徴です。さらに、フロントマーカーランプはマツダ・ユーノスロードスター、テールランプはシボレー・キャバリエから流用されています。

M12の価格は、平均して184,000ドル、日本円にして約1,695万円であり、エンジンの流用元であるディアブロよりも手頃であったものの、生産は期待を大きく下回る月販3台程度にとどまりました。1999年には経営が厳しくなりランボルギーニにエンジンの費用を支払うことが困難となり、それに伴い製造は終了となりました。

総生産数はわずか18台に留まり、その中でも4台はモータースポーツ向けのプリプロダクションモデルでした。市販されたのは実際には14台だけで、多くの台数が生産されなかったことから、M12は非常に希少なスーパーカーとなっています。

関連項目

• - スーパーカー一覧
• - ランボルギーニ

このように、ベクター・M12は、その独特なデザインと性能を持ちながら、経営課題に直面し短命に終わったスーパーカーとして、自動車史に名を刻むモデルです。

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