ベニシア・スタンリー・スミス

ベニシア・スタンリー・スミスの生涯

ベニシア・スタンリー・スミス（1950年12月27日 - 2023年6月21日）は、イギリス・ロンドン出身の著名なハーブ研究家であり、英会話学校の経営者でした。彼女はその独自の経験と専門知識を生かし、日本においてガーデニングとハーブの魅力を広め、多くの人々に影響を与えました。

家系と生い立ち

ベニシアは、イギリスの貴族であるスカースデール子爵家の一員として生まれました。父親はデレク・スタンリー・スミスで、母親はジュリアナ・カーゾンという有名な家族の三女です。母方の実家は、著名な建築家ロバート・アダムが設計したケドルストンホールで、彼女の家族は歴史的な背景を持っていました。しかし、彼女の幼少期は波瀾万丈であり、2歳の時に両親が離婚し、その後も母親の再婚に付き添いながら国内外での転居を余儀なくされました。

ベニシアは、ジャージー島の小学校に通い、さらに寄宿制女子校での教育を受け、日本に渡るまでの間にさまざまな場所で生活しました。19歳でバックパッカーとしてインドに渡り、現地での経験を積んだ後、1971年に日本の九州南部に移住しました。

日本での生活とキャリア

日本では日本人男性と結婚し、東京や岡山での生活を経て1978年に京都長岡で英会話学校を設立しました。1992年には登山家の梶山正と再婚し、その後は大原に移り住みます。この移住を契機に、彼女はメディアに頻繁に取り上げられるようになり、世間に広まりました。

特にガーデニングに対する情熱が芽生え、友人からのアドバイスをきっかけにハーブ栽培に取り組むことになりました。2002年にNHKの「わたしのアイデアガーデニングコンテスト」で特別賞を受賞したことにより、ハーブ教室を開くようになり、専門家としての活動をスタートさせました。

著作とメディアへの露出

2007年には初めての著書『ベニシアのハーブ便り』を出版し、その後もエッセイ本やDVDを多数発表しました。特にNHKの番組「猫のしっぽ カエルの手 京都 大原 ベニシアの手づくり暮らし」は彼女の代表作として評価され、多くの視聴者に親しまれました。また、2013年には自身を題材としたドキュメンタリー映画『ベニシアさんの四季の庭』が公開され、話題を呼びました。

家族とプライベート

彼女は二度の結婚歴があり、初婚では3人の子供たち（長女・サチア、次女・ジュリー、長男・主慈）をもうけ、再婚後は次男・悠仁を授かりました。娘の一人が精神的な病気を抱えていることを公表し、家族の複雑な背景を持つことも知られています。

晩年と死去

晩年には視力の低下と記憶障害が進行し、2018年にPCA（後部皮質萎縮症）と診断され、2021年には介護施設に入所しました。2023年6月21日、誤嚥性肺炎により72歳で亡くなりました。彼女の生涯は、多くの人々にガーデニングの楽しさと、家族の大切さを教えてくれました。

ベニシア・スタンリー・スミスは、その独自の経験を通じて、日本におけるハーブ文化を広め、教育者としてだけでなく、文化的なアイコンとしても多くの人々に愛されました。

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