ベニハワイミツスイ

ベニハワイミツスイ（イイヴィ）

ベニハワイミツスイ（学名：Vestiaria coccinea）、またはイイヴィ（ハワイ語: ʻIʻiwi）は、ハワイミツスイ科に分類される固有の鳥類です。本種のみでベニハワイミツスイ属を構成します。

分布

ハワイ諸島固有種であり、ハワイミツスイ類の中では比較的個体数が多いものの、感染症に対する耐性が低いため、生息域は狭まっています。現在では、ハワイ島、マウイ島、カウアイ島で見られますが、モロカイ島、オアフ島では個体数が少ないです。蚊が生息できない寒冷な高地が主な生息地となっています。

形態

成鳥はスズメ大で、体色は鮮やかな真紅、サーモンピンクの弓状に反った長い嘴が特徴です。翼と尾は黒色です。

生態

長く反った嘴は、花蜜を吸うために進化したものですが、現在はオヒアの木の花蜜を主食としています。食性の変化に伴い、嘴の長さが短くなっているという報告もあります。また、ハワイ島では季節によって生息する標高を変えることが知られています。

他のハワイ固有鳥類と同様に感染症に弱く、蚊が生息する低地ではほとんど見られません。鳥マラリアに対する感染率が高く、蚊に一度刺されただけで半数以上が死亡するとの報告があります。

人間との関係

かつては、羽毛がハワイの支配者層に珍重され、アフウラ（ケープ）やマヒオレ（かぶと）の装飾に用いられました。学名のVestiariaはラテン語で「衣服」、coccineaは「真紅」を意味します。

現在では、ハワイ州を代表する鳥として広く知られており、日本航空のリゾートキャンペーンにも登場しました。ただし、ハワイ州の州鳥はハワイガンです。

優美な姿と色彩から、ハワイの自然保護を訴えるシンボルとしても多用されます。しかし、個体数は危機的な状況ではないため、ベニハワイミツスイばかりに注目が集まり、他の絶滅危惧種（固有カタツムリなど）の保護がおざなりにされるという批判もあります。

参考文献

A POCKET GUIDE TO HAWAI`I'S BIRDS, H. Douglas Pratt, ISBN 1-56647-145-1
ドードーの歌―美しい世界の島々からの警鐘, David Quammen(原著),鈴木 主税 (翻訳), 河出書房新社, ISBN 978-4-309-25094-6

関連項目

* ハワイの野鳥一覧

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