ベネズエラ共産党

ベネズエラ共産党（PCV）

ベネズエラ共産党（スペイン語: Partido Comunista de Venezuela, PCV）は、ベネズエラにおけるマルクス・レーニン主義を掲げる政党であり、同国に現存する最古の政党として知られています。1931年の創設以来、1971年の分裂までは、ベネズエラにおける左翼勢力の主流派として活動を続けました。

歴史

建党からペレス・ヒメネス軍事独裁政権まで

ベネズエラ共産党は、1931年にフアン・ビセンテ・ゴメス軍事独裁政権下において、地下組織として創設されました。当初はフアン・バウティスタ・フエンマヨルが指導し、コミンテルンのベネズエラ支部としての役割を担いました。その前身は、1926年に亡命共産主義者によってメキシコで設立されたベネズエラ革命党であり、1929年にはベネズエラで反乱を試みましたが失敗に終わっています。

1941年まで非合法組織として活動を余儀なくされましたが、コミンテルンからの指令により、連合国の戦争努力を支援する政権に協力する方針を打ち出し、進歩的なイサイアス・メディナ・アンガリタ軍事政権と連携しました。1948年から1958年までのマルコス・ペレス・ヒメネス軍事独裁政権下では、再び非合法化され、同様に非合法であった民主行動党（AD）の活動家と共に、政権への地下抵抗組織として重要な役割を果たしました。

1952年、軍事政権が実施した制憲議会選挙において、非合法組織でありながらも、非共産主義の左翼政党である民主共和同盟（URD）を支援しました。しかし、URDの勝利が確実になると、軍部は開票作業を中止させ、共産主義者が支援する野党への政権移譲を拒否しました。この結果、軍部内での勢力バランスは穏健派からペレス・ヒメネスらの強硬派へと傾き、ペレス・ヒメネスは地下の野党に対する弾圧を強化することになりました。

民政移管からチャベス政権まで

1958年1月、軍部内の反乱とそれに続く市民デモにより、ペレス・ヒメネス大統領は亡命し、軍事政権は終焉を迎えました。同年10月、民政への移行と大統領選挙に向けて、AD・COPEI・URDという主要な非共産主義野党3党が、権力分担協定であるプント・フィホ協定に署名しましたが、共産党はこの協定から排除されました。

1958年12月の大統領選挙では、共産党はURDの候補者であるウォルフガング・ララサバルを支持し、3.2%（84,451票）を獲得しました。ララサバル陣営の得票率を合計すると34.88%となり、当時のベネズエラ政治における共産党の影響力を示唆しています。共産党は、規律の取れた組織力を持つ一方で、大衆的な支持を得るのが難しい状況にありましたが、多くの職業活動家を抱え、ソビエト連邦とは思想面や財政面で強い繋がりを持っていました。この選挙では、ADのロムロ・ベタンクールが新大統領に選出されました。ベタンクールは、かつてコスタリカで共産党の指導者であった経歴を持ちますが、ADを結成してからは反共主義者となりました。

1960年代初頭、キューバ革命に触発された党は、より一層急進的な路線を歩み、ベタンクール政権に対し、AD左派の分派である革命的左翼運動（MIR）などと共にゲリラ戦を開始し、再び非合法化されました。しかし、共産党のゲリラ闘争は、ベネズエラの農民からの支持を得ることができず、ベタンクールの改良主義的な政策が農民から広範な支持を受けたため、新政権にとって大きな脅威とはなりませんでした。

1971年、ゲリラ路線への幻滅から、党員が大量に離党し、議会闘争を主張する改良主義政党である社会主義運動（MAS）に参加しました。同時期に、ごく少数の活動家が離脱し、労働組合を基盤とする急進大義（Causa RまたはLCRとして知られる）を結成しました。LCRは、後の皆のための祖国（PPT）の前身となります。共産党に残った活動家は、ラファエル・カルデラ大統領が進めた「和解」プロセスの一環として、後に大赦を受けました。

その後、共産党はベネズエラの政治において、周辺的な勢力となっていきました。1973年の選挙では0.7%、1978年の選挙では0.5%、1983年には1%、1988年と1993年には0.3%の得票にとどまりました。最も得票が多かった1983年の選挙でも、67,681票に過ぎませんでした。

1993年の大統領選挙では、国民統一陣営のラファエル・カルデラを支持しましたが、1996年にはカルデラ大統領と対立するようになりました。

チャベス時代

1998年の大統領選挙では、ウゴ・チャベスを支持し、1.25%（81,979票）を獲得しました（チャベス陣営の得票総計は3,673,685票）。2006年の大統領選挙では、2.9%（342,227票）を獲得し（チャベス票の総計は7,309,080票）、チャベス陣営の中で4番目に大きい政党となりました。

共産党は、ベネズエラの社会主義化はゆっくりと発展していくべきであるという信念を表明しています。チャベス政権の与党連合の中では、小規模ながらも存在感のある政党として活動しています。

2007年以降、チャベス大統領が提唱した新党ベネズエラ統一社会党への合流を拒否したため、チャベス政権との関係は緊張することもありました。2008年7月には、保守派のコロンビア大統領アルバロ・ウリベのベネズエラ訪問に際し、共産党が抗議デモを続けたため、チャベス大統領から公式に非難を受けるという出来事もありました。

2005年12月の制憲議会選挙では、ベネズエラ国会の代議員として、ロベルト・エルナンデス、ディルビナ・カベロ、ヘルマン・フェレール、オスカル・フィゲラ、エドガル・ルセナ、チチェ・マナウレ、オマール・マルカノ、ダビド・ベラスケスの8名の共産党候補が当選しました。

ベネズエラ共産党は、"Debate Abierto"と"Tribuna Popular"という刊行物を発行しています。また、青年組織としてベネズエラ共産主義青年（Juventud Comunista de Venezuela）があります。

国際的には、日本共産党と友好関係にあり、2006年には、ベネズエラ共産党書記長のオスカル・フィゲラが日本共産党第24回党大会に参加し、志位和夫委員長と懇談するなど、相互に交流を行っています。

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