ベネットン・ラグビー

ベネットン・ラグビーは、イタリア北東部のヴェネト州に位置する都市、トレヴィーゾを本拠地とするプロラグビーユニオンチームです。ホームグラウンドとしてスタディオ・コムナーレ・ディ・モニゴを使用しています。

クラブの起源は1932年に設立されたASラグビー・トレヴィーゾに遡ります。創設当初、イタリア国内のラグビー界では、同じヴェネト州のロヴィーゴやパドヴァといったチームが優勢でしたが、トレヴィーゾも徐々に力をつけ、1955-56シーズンに初のスクデット（国内リーグ優勝）を獲得しました。1970年代後半にかけても、ヴェネト勢が国内リーグの中心であり続け、トレヴィーゾは1977-78シーズンに二度目の栄冠を手にしました。

1978年には、有名なアパレルブランドであるベネトングループが主要スポンサーとなり、チームはベネットン・ラグビー・トレヴィーゾと改称されました。この強力な支援を背景にチームは強化が進み、1980年代後半には、ラグビー王国ニュージーランド代表のスター選手、ジョン・カーワンやクレイグ・グリーンなどが加入。イタリア国内でトップクラスの地位を不動のものとしました。アマチュア時代には、合計で5度の国内リーグ優勝を果たしています（1956年、1978年、1983年、1989年、1992年）。

1995年のラグビーユニオンのプロ化に伴い、ベネットン・トレヴィーゾはプロクラブとして活動を開始。プロ化後、イタリア国内リーグ（スーペル10など）に参加していた2010年までの期間に、チームは10回のスクデットを獲得するという圧倒的な強さを誇りました。これにより、ベネットン・ラグビーの国内リーグ優勝回数は通算15回となり、イタリアラグビー史上最多優勝クラブの一つとなっています。また、プロ化と同時に創設された欧州最高峰クラブ大会、ハイネケンカップ（現在のヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ）にも、第1回大会からほぼ毎年出場し、国際舞台での経験を積み重ねました。

2010-11シーズンには、イタリア国内リーグからアイルランド、スコットランド、ウェールズのクラブが参加する国際リーグ、ケルティックリーグ（現在のユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ、URC）へ舞台を移すという大きな決断をしました。国際レベルでの戦いは容易ではありませんでしたが、チームは着実にレベルアップを図りました。2017年にはチーム名を簡潔にベネットン・ラグビーに変更。URC転籍後、2017-18シーズンには初めてシーズン勝ち越しを達成し、2018-19シーズンにはクラブ史上初のプレーオフ進出を果たしました。そして、2021年には、プロ14・レインボーカップで見事優勝を飾り、国際リーグでの記念すべき初タイトルを獲得しました。

ベネットン・ラグビーは、その長い歴史の中で、数多くの才能ある選手を育成・輩出してきました。特に、イタリア代表の中心選手となる多くのプレーヤーを送り出しており、アレッサンドロ・ザンニ、レオナルド・ギラルディーニ、キャリア初期を過ごしたセルジオ・パリセらはその代表例です。前述のジョン・カーワンや、日本代表として活躍したクリスチャン・ロアマヌなど、国際的な名声を持つ選手も在籍しました。

チームがこれまでに獲得した主なタイトルは以下の通りです（2022年8月現在）。

国内タイトル
スクデット（リーグ戦）：優勝 15回（1956, 1978, 1983, 1989, 1992, 1997, 1998, 1999, 2001, 2003, 2004, 2006, 2007, 2009, 2010）
コッパ・イタリア（カップ戦）：優勝 4回（1970, 1998, 2005, 2010）
スーペルコッパ・イタリアーナ（スーパーカップ）：優勝 2回（2006, 2009）
国際タイトル
プロ14・レインボーカップ：優勝 1回（2021）

ベネットン・ラグビーは、現在もイタリアのもう一つのURC所属チームであるゼブレ・パルマと共に、世界のトップレベルが集まるユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップで挑戦を続けています。

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