ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ

ヨーロピアンラグビー・チャンピオンズカップ

ヨーロピアンラグビー・チャンピオンズカップ（European Rugby Champions Cup）は、ヨーロッパおよび南アフリカ共和国のラグビーユニオンクラブが参加する、権威あるクラブ王者決定戦です。この大会は、各国のトップリーグで好成績を収めた強豪クラブが一堂に会し、クラブチームにおける欧州最高峰のタイトルを争うものです。現在の冠スポンサー名を冠して、「インベステック・チャンピオンズカップ（Investec Champions Cup）」とも称されています。

大会の歩みと運営組織

本大会の前身は、1995年に始まった「ハイネケンカップ（Heineken Cup）」です。これはラグビーユニオンがプロ化された初期に設立され、ヨーロッパの主要クラブが集う大会として発展しました。当初はヨーロピアンラグビーカップ（ERC）が運営を担っていました。しかし、大会の形式や収益の分配方法に関する意見の対立が生じ、特にイングランドとフランスのクラブがERCから脱退する事態に至りました。

これを受けて、2014年にはイングランドとフランスが中心となり、新たな運営組織としてヨーロピアン・プロフェッショナル・クラブ・ラグビー（EPCR）が設立されました。2014-15シーズンからは、EPCRが大会の運営を引き継ぎ、大会名も現在の「ヨーロピアンラグビー・チャンピオンズカップ」へと変更されました。その後、冠スポンサーは変遷しており、一時期は再びハイネケンが冠につき「ハイネケン・チャンピオンズカップ」と呼ばれた時期もありましたが、2023-24シーズンからは投資銀行・資産運用会社のインベステックが命名権を獲得し、「インベステック・チャンピオンズカップ」として開催されています。

EPCRは、フランスラグビー連盟（FFR）、イタリアラグビー連盟（FIR）、アイルランドラグビー協会（IRFU）、ナショナルラグビーリーグ（LNR - フランスのプロリーグ）、プレミアシップ・ラグビー・リミテッド（PRL - イングランドのプロリーグ）、PRO Rugby Championship DAC（URC - ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ）、イングランドラグビー協会（RFU）、スコットランドラグビー協会（SRU）、ウェールズラグビー協会（WRU）といった、ヨーロッパ主要国のラグビー関連組織が出資する形で運営されています。

出場資格

本大会への出場資格は、主に前シーズンの各国内・地域リーグの成績によって決定されます。参加チームは合計24チームで、これは主に以下の3つの主要リーグから選出されます。

イングランド最高峰リーグ「プレミアシップ」: 上位8チーム
フランス最高峰リーグ「フランス選手権トップ14」: 上位8チーム
ウェールズ、スコットランド、アイルランド、イタリア、南アフリカ共和国の合同リーグ「ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ（URC）」: 上位7チーム

上記に加え、EPCRが主催する下位大会である「EPCRチャレンジカップ」の前シーズン優勝チームにも出場権が与えられます。これにより、計24チームが出揃います。なお、具体的な出場チーム数や選出方法は、年次によって若干変更される場合があります。

大会形式

大会は大きくプールステージとノックアウトステージに分かれています。ここでは、直近の2024-25シーズンの形式を例に説明します。

プールステージ

参加する24チームは、まずプールステージに進みます。各チームは、前シーズンの所属リーグでの順位に基づいて、4つのランクに分けられます。その後、抽選によって各プール内のチームの強さが均等になるように、6チームずつ、合計4つのプールが編成されます。

プールステージでは、各チームは異なる4チームとホームまたはアウェイで1試合ずつ、合計4試合を戦います。試合結果に応じて勝ち点が与えられ、順位が決定されます。

勝利: 4ポイント
引き分け: 2ポイント
ボーナスポイント: 4トライ以上獲得で1ポイント、7点差以内での負けで1ポイント

プールステージの全試合終了後、各プールの上位4チーム、合計16チームがノックアウトステージへの進出権を獲得します。

ノックアウトステージ

プールステージを突破した16チームによるトーナメント形式で行われます。1回戦の対戦カードは、プールステージ全体の成績に基づき、1位から16位までシードされた順位に応じて決定されます（例: 1位対16位、2位対15位など）。

1回戦を勝ち抜いたチームは準々決勝に進み、その後準決勝、決勝へと駒を進めます。各ラウンドは原則として一発勝負で、勝利したチームが次のラウンドに進出します。この大会では、3位決定戦は行われません。

将来の展望

EPCRは、2028年から4年に一度の開催となる「ラグビーワールドクラブカップ（Rugby World Club Cup）」の創設を発表しています。この新たな国際クラブ大会には、本大会のチャンピオンズカップから8チームが出場し、さらにスーパーラグビー・パシフィック（オーストラリア、ニュージーランド、フィジーのクラブが参加）や日本のジャパンラグビーリーグワンからの8チームが加わる予定です。このワールドクラブカップは、4年に一度、チャンピオンズカップのノックアウトステージの代わりに開催される見込みであり、本大会のスケジュールにも影響を与える可能性があります。

ヨーロピアンラグビー・チャンピオンズカップは、その激しい戦いと高いレベルのプレーから、世界中のラグビーファンを魅了する大会です。今後も欧州および南アフリカのクラブラグビーの最高峰として、その地位を確立していくことでしょう。

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