ベラルーシ反体制派

ベラルーシ反体制派とは

ベラルーシ反体制派は、1988年から1991年のベラルーシ・ソビエト社会主義共和国時代、そして1995年以降は、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の権威主義的な支配に反対するベラルーシのグループや個人によって構成されています。彼らは、言論の自由、政治的・宗教的多元主義、そして西欧型の議会制民主主義を求めて活動しています。

背景

現代のベラルーシ民主化運動は、1980年代後半、ミハイル・ゴルバチョフのペレストロイカとチェルノブイリ原発事故が、ソビエト体制の欠陥を明らかにしたことがきっかけでした。多くのベラルーシ人が、環境問題、脱スターリン化、民族復興、民主化といったテーマに関心を抱くようになりました。

ソビエト連邦崩壊後、1991年から1994年の短期間、ベラルーシでは民主主義が実現しました。しかし、1994年にアレクサンドル・ルカシェンコが大統領に選出されて以来、彼は権威主義的な支配体制を確立し、国連人権理事会からも人権侵害を指摘されています。

歴史

1988年の反ソビエトデモ

1988年6月、ミンスクの週刊誌が、クラパティでスターリン主義の犠牲者の集団墓地が発見されたことを報道しました。これは、ソビエト時代の犯罪を報じた最初の出版物でした。同年10月には、共産主義犠牲者を記念する「ベラルーシ殉教録」と、ベラルーシ人民戦線の設立組織委員会が設立されました。10月30日、ミンスクで集会が開かれましたが、機動隊によって暴力的に解散させられました。

ベラルーシ人民戦線の設立

1989年6月24日と25日、ベラルーシ人民戦線「復興」が正式に設立され、パズニアックが議長に就任しました。

1991年ベラルーシ革命

1991年、ベラルーシではソビエト当局に反対するストライキと集会が相次ぎました。グラスノスチとペレストロイカ政策が導入される一方で、生活水準の低下と失業が増加し、民主主義を求める大規模なデモが発生しました。1990年、ベラルーシは初の複数政党制による最高会議選挙を実施し、ソビエト連邦崩壊後、ベラルーシは独立を宣言しました。

ルカシェンコの選出と権力強化

1994年6月、ベラルーシで初の大統領選挙が行われ、ルカシェンコが当選しました。1995年以降、彼は議会などの機関を弱体化させ、自身の権力を強化していきました。

ミンスクの春（1996-97）

1996年から1997年の春には、大規模な抗議デモ「ミンスクの春」が起こりました。ルカシェンコ政権は政治的自由を制限し、ますます権威主義的になっていきました。

憲章97

憲章97は、1997年の民主主義を求める宣言に触発された人権団体です。この宣言は、チェコスロバキアの「憲章77」を意識したもので、ベラルーシの独立、自由、民主主義への支持を表明しています。

ジーンズ革命（2006年）

2006年の大統領選挙に向けて、ベラルーシの民主的変革を求める動きが「ジーンズ革命」と呼ばれました。

2010年大統領選挙と抗議

2010年の大統領選挙後、ルカシェンコに抗議するデモが発生し、多くの反体制派活動家が逮捕されました。また、反体制派のウェブサイトやSNSが遮断されました。

2011年の抗議

2011年には、深刻な経済危機を背景に抗議デモが発生し、政府は集会と集会を禁止しました。

2017年の抗議

2017年には、失業者に課税する法律に反対するデモが行われました。政府は、抗議デモを抑圧するために大量逮捕や暴力的な手段を使用しました。

2020年の大統領選挙と抗議

2020年、COVID-19パンデミック中のルカシェンコの支持率低下を背景に、抗議デモが起こりました。不正選挙の疑いが指摘された大統領選挙後、大規模なデモが発生し、反体制派の大統領候補スヴァトラーナ・ツィハノウスカヤは、自身の勝利を主張し、権力移行を促進するための調整評議会を設立しました。NextaなどのTelegramグループは、反体制派の活動において重要な役割を果たしました。

自由の日

自由の日は、1918年のベラルーシ民主共和国の独立宣言を記念する日であり、ルカシェンコ政権への抗議活動が行われる日でもあります。

2022年ロシアのウクライナ侵攻

2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻に対するルカシェンコの支持に抗議するデモが行われました。反体制派は、ウクライナを支援するための活動も行いました。

野党と組織

ベラルーシには、Rada of the Belarusian Democratic Republic、Belarusian Popular Front "Revival"、Martyrology of Belarusなどの様々な野党や組織が存在します。これらの組織は、民主主義の推進、人権擁護、そしてベラルーシの自由と独立のために活動しています。

国際的な支援

欧州連合はルカシェンコ政権に制裁を科しており、チェコ、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、モルドバなどの政府は、ベラルーシの民主化運動に外交的支援を提供しています。