ベルガマスク組曲

ベルガマスク組曲

『ベルガマスク組曲』（フランス語: Suite bergamasque）は、フランスの作曲家クロード・ドビュッシーによって1890年から1905年にかけて作曲された作品です。このピアノ独奏曲集は、特に親しみやすさとその美しい旋律で広く知られています。特に第3曲「月の光」は、ドビュッシーの代表作の一つとして非常に多くの演奏機会があり、楽曲の中でも際立った存在となっています。

『ベルガマスク組曲』は1890年ごろに初めて作曲されましたが、1905年に改訂された版が発表されました。この作品はドビュッシーの初期のものであり、彼の音楽的スタイルが発展する前の段階を示しています。そのため、この曲にはグリーグ、マスネ、フォーレなどの先代の作曲家の影響が色濃く見受けられます。

曲名に含まれる「ベルガマスク」はポール・ヴェルレーヌの詩集『艶なる宴』に出てくる「月の光」という詩に由来しています。この詩の中に詠まれる「艶やかな仮面喜劇者たちとベルガモの踊り子たち」という一節が由来で、ダンスのリズムや仮面の要素がテーマとなっています。また、ガブリエル・フォーレの楽曲『月の光』も関連があるとされ、ドビュッシーは両者の影響を受けながら、この組曲を構築したと考えられています。

構成

『ベルガマスク組曲』は以下の4つの楽曲で構成されています。

1. 前奏曲 (Prélude)
ヘ長調、Moderato、4分の4拍子。この楽曲は、旋律と低音が反進行する形で進行し、中間部ではエオリア旋法が用いられています。

2. メヌエット (Menuet)
イ短調、Andantino、4分の3拍子。冒頭のスタッカート音が特徴の軽快な主題はドリア旋法に基づいています。

3. 月の光 (Clair de Lune)
変ニ長調、Andante très expressif、8分の9拍子。この楽曲は、非常に柔らかく、感情的な夜想曲として知られ、中間部にはミクソリディア旋法が使用されています。当初、この曲は「感傷的な散歩道 (Promenade sentimentale)」というタイトルで発表される予定でしたが、後に名称が変更されました。

4. パスピエ (Passepied)
嬰ヘ短調、Allegretto ma non troppo、4分の4拍子。曲の終わりを飾るこの楽曲もバロック舞曲が基になっており、もともとは「パヴァーヌ (Pavane)」というタイトルで作曲されたことがあるため、4分の4拍子でありながらパスピエとしての性質を持っています。

文化的な影響

特に「月の光」は、1971年にNHKの『みんなのうた』で放送され、多くの人々に親しまれる存在となりました。この曲を題材にした楽曲は、作詞を中山知子が担当し、編曲を石川皓也が手掛け、歌い手には芹洋子と東京トルベールが参加しました。この楽曲は一度放送された後、再放送は行われていないものの、2011年発売のDVD-BOXに収録されました。また、キングレコードからリリースされた音楽作品の中にもこの楽曲が含まれています。

このように『ベルガマスク組曲』は、音楽的な魅力だけでなく、その文化的な影響も大きなものとして多くの人々に支持されています。初心者から上級者まで様々なレベルのピアニストに親しまれており、今でも広く演奏されています。

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