ベルギーの政党

ベルギーの政党

ベルギーにおける政党の歴史は、宗教的対立と階級対立という二つの軸によって形作られました。19世紀末から第二次世界大戦後にかけて、キリスト教民主主義政党（カトリック党）、自由主義政党（自由党→自由進歩党）、そして社会主義政党（労働党→社会党）が伝統的な主要政党として活動を続けました。

宗教と階級の対立

宗教的対立: キリスト教（カトリック）と世俗主義の対立
階級対立: 資本家階級と労働者階級の対立

これらの対立軸を背景に、上記の三つの主要政党がベルギー政治を主導しました。

地域対立の激化と政党の変容

しかし、1960年代以降、言語戦争をきっかけとしたフランデレン地域とワロン地域の地域対立が表面化し、新たな地域政党が誕生します。1954年にはフランデレン地域でフランデレン人民同盟（VU）が結成され、ワロン地域でもワロン連合（RW）とブリュッセル・フランス語民主戦線（FDF）が発足しました。

1968年3月の総選挙では、ルーヴァン・カトリック大学問題を背景に地域政党が大きく支持を伸ばし、伝統的な主要政党は軒並み支持を減らすという結果となりました。この選挙結果は、ベルギー政治における地域対立の深刻さを示すものでした。

主要政党の分党化

地域対立の激化を受けて、主要政党も組織の分党化を進めました。全国指導部を有する地域政党の連合体としての性格を強めていったのです。

カトリック党: 1968年にオランダ語圏のキリスト教人民党（CVP）とフランス語圏のキリスト教社会党（PSC）に分裂
自由進歩党: 1972年にオランダ語圏のPVVとフランス語圏のPRLに分裂
社会党: 1978年にオランダ語圏のSPとフランス語圏のPSに分裂

分極的多党制の確立

これらの分党化の結果、ベルギーではキリスト教民主主義政党、自由主義政党、社会主義政党という主要三政党が、オランダ語圏とフランス語圏でそれぞれ異なる政党組織を有する分極的多党制の状況が出現しました。この分極的多党制は、ベルギー政治の複雑さを象徴するものとなっています。

ベルギーの政党システムは、複雑な歴史的背景と社会構造を反映しており、その理解はベルギー政治を理解する上で不可欠です。

参考文献

渡辺樹 (PDF) 国立国会図書館調査及び立法考査局編『レファレンス』（2008年3月号）
小島健ベルギー連邦制の背景と課題 (PDF) 東京経済大学会誌『経済学』2010年2月号

関連項目

代議院 (ベルギー)
* 元老院 (ベルギー)

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