分極的多党制

分極的多党制（polarized pluralism）

分極的多党制とは、政党間のイデオロギーの距離が非常に大きく、多極的な構造を持つ政治体制のことを指します。この概念は主に政治学者ジョヴァンニ・サルトーリによって提唱されました。一般的には、このような多党制は極端な形態とも見なされています。

概要

分極的多党制にはいくつかの重要な要素があります。まず、議席を有する政党の数は通常6つ以上ですが、実際には3つの政党でも十分に分極的に構造する可能性があります。次に、左右を問わず、有力な反体制政党が存在することが特徴です。これにより、政党間の政策距離が大きく、連立政権を築くことが極めて困難になります。

また、双系野党の存在も重要な特徴となります。これは、政党が4つ以上のグループに分かれているか、または3つのブロックのうち1つだけが政権を担っているような状況を示します。さらに、右翼ブロックや左翼ブロックと中道ブロックに分かれている場合、中道ブロックが政権を担う際には、左右にはそれぞれ独立した野党が存在することになります。このような状況は、政権に参加できない反体制政党が穏健な中道政党であると予測されないという点で、特に顕著です。

政権形成の難しさ

分極的多党制では、反体制政党が政権に参加する機会を持たないため、それが示すのは政党間の政策距離の大きさです。このため、実質的に政権を担う党公約を持つ政党群が過半数に達しない限り、連立政府による協議が難航します。既存の政権 blocs 間では、激しい選挙戦を経て、連立のための交渉が成立しにくいと考えられています。

さらに、第三勢力として存在する反体制政党も連立政府形成には不向きであるため、政党間の均衡を保つことが難しく、集合的な動きが阻害される場合が多いとされています。

具体例

分極的多党制の代表的な事例としては、ヴァイマル共和政時代のドイツや1993年までのイタリアが挙げられます。ヴァイマル共和政では、社会民主党が中心にあり、その右側には国民社会主義ドイツ労働者党、左にはドイツ共産党が存在しました。一方、イタリアでは、キリスト教民主主義が中心政党で、右側にはイタリア社会運動（ネオファシスト）と、左には大規模なイタリア共産党が登場しました。

分極的多党制は、一般に比例代表制において進展しやすいとされていますが、比例代表制であっても低分極的な政治体制を実現したスカンディナヴィア諸国の事例もあります。これは、比例代表制以外の要素が重なった結果、分極的多党制が形成されると解釈されています。

ドイツの教訓

ドイツの場合、ファシズムの台頭からの教訓を受けて、戦後のドイツ連邦共和国ではいくつかの予防策を採用しました。その一つが、議席を得るためには5％以上の得票が必要という阻止条項の導入です。さらに、議会制民主主義を否定する政 party に対し結社禁止という措置も講じられました。これにより、ドイツ社会主義帝国党やドイツ共産党などは解散させられました。

分極的多党制の理解は、今後の政治体制の評価や改革において非常に重要なポイントとなるでしょう。

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