ベルタ・ディ・サヴォイア

ベルタ・ディ・サヴォイア：神聖ローマ皇帝妃の生涯

ベルタ・ディ・サヴォイア（1051年9月21日 - 1087年12月27日）は、ザーリアー朝のドイツ王・神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世の最初の皇后です。ベルタ・ダ・トリノとも呼ばれています。

生い立ち

1051年、サヴォイア伯オットーネ1世と、アルドゥイーノ家の最後の継承者であるアデライデ・ディ・トリノの娘として生まれました。彼女の兄弟には、サヴォイア伯ピエトロ1世、アメデーオ2世、そしてシュヴァーベン大公ルドルフ・フォン・ラインフェルデンの妃アデライデがいます。

結婚と離婚の危機

1055年、わずか4歳で後のハインリヒ4世と婚約し、ドイツで養育されました。1066年に15歳で王妃として戴冠し、ハインリヒ4世と結婚しました。しかし、結婚生活は決して幸福なものではありませんでした。ハインリヒ4世は絶えず不貞を働き、ベルタをないがしろにしました。

1069年、ハインリヒ4世はベルタとの離婚を試みます。彼はヴォルムスの帝国議会で、ベルタとの関係が破綻していることを公に訴え、離婚を正当化しようとしました。しかし、聖職者たちは離婚に反対し、最終的にハインリヒ4世はベルタとの和解を余儀なくされました。

カノッサの屈辱

ハインリヒ4世は教皇グレゴリウス7世との間で叙任権闘争を繰り広げ、破門されます。1077年、ハインリヒ4世は破門を解いてもらうため、ベルタと幼い息子コンラートを連れて冬のアルプスを越え、カノッサへ向かいます。彼はカノッサ城門の前で3日間、裸足で立ち続け、教皇に赦しを請いました。この出来事は「カノッサの屈辱」として知られています。

皇帝戴冠と死去

破門を解かれた後、ハインリヒ4世は一転して攻勢に出ます。彼はローマを占領し、対立教皇クレメンス3世によって神聖ローマ皇帝・皇后として戴冠しました。

1087年、ベルタはマインツで死去しました。36歳でした。彼女はシュパイアー大聖堂に埋葬されました。

子女

ベルタはハインリヒ4世との間に5人の子供をもうけました。その中には、後の神聖ローマ皇帝ハインリヒ5世も含まれています。

アーデルハイト（1070年 - 1079年）
ハインリヒ（1071年 - 1071年）
アグネス（1072/73年 - 1143年）
コンラート（1074年 - 1101年） - ローマ王
ハインリヒ5世（1081/86年 - 1125年） - 神聖ローマ皇帝

ベルタ・ディ・サヴォイアは、政略結婚、夫の不貞、離婚の危機、カノッサの屈辱、そして皇后としての戴冠など、波乱万丈な生涯を送りました。彼女は、中世ヨーロッパの政治と宗教が複雑に絡み合った時代を生きた女性の一人として、歴史に名を残しています。

参考文献

Bruno of Merseburg, Brunonis Saxonicum bellum
Lampert of Hersfeld, Annales
I.S. Robinson, Henry IV of Germany, 1056–1106

外部リンク

Medieval Lands Project
Bertha von Turin, Deutsche Königin

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