ベルテル・トルバルセン

ベルテル・トルバルセンの生涯と業績

ベルテル・トルバルセン（1770年11月19日 - 1844年3月24日）は、デンマークを代表する彫刻家であり、新古典主義の巨匠として国際的に著名です。彼の人生は、貧しい家庭に生まれ、才能を開花させていく姿が印象的です。

幼少期と教育

トルバルセンはコペンハーゲンで生まれました。父親はアイスランド出身の木彫師であり、母親はデンマークの農家出身でした。家庭は裕福ではありませんでしたが、父から木彫の技術を学び、優れた才能を見せていました。わずか11歳でデンマーク王立美術院に入学し、彫刻家ヨハネス・ヴィーデヴェルトらの指導を受けました。在学中には多くの賞を受賞し、イタリア留学の機会を得ることができました。

イタリア留学と新古典主義

1797年、トルバルセンはイタリアのパレルモやナポリを訪れ、最終的にはローマに移り住みます。この地で彼は、古代の芸術や彫刻技法を深く学び、特に新古典主義に魅了されました。デンマークの古美術研究家ゲオルク・ツォエガの影響を受け、また画家アスムス・ヤコブ・カルステンスからも古典美術の教えを受けました。彼の留学期間中に、『バッカスとアリアーヌ』などの作品を発表し、さらなる評価を得ることになります。

国際的な評価と成功

トルバルセンはイタリアで活躍し、1805年にはデンマーク王立美術院の正会員に選ばれると同時に、ボローニャの美術アカデミーの名誉会員にも任命されました。ナポレオン・ボナパルトからも彫刻の依頼が届くなど、国際的な名声を獲得します。その後、彼はバイエルン王国のルートヴィヒ1世からの依頼でアドニス像を制作し、バチカンからはローマ教皇ピウス7世の墓碑像を依頼されるという極めて名誉な機会を得ます。

代表作と影響

トルバルセンの作品は、キリスト教や古典美術、ギリシア神話をテーマにしたものが多く、特に『ニコラス・コペルニクス像』や『ユゼフ・ポニャトフスキ像』は有名です。1838年にデンマークに帰国し、彫刻界の巨匠としての地位を確立しました。1844年、親友のアンデルセンとの食事後、劇場で心臓発作により急逝します。彼の作品は、今日でも多くの美術館や記念館に展示され、世界中の人々に感動を与え続けています。

結論

ベルテル・トルバルセンは、長いイタリア滞在を経て、新古典主義の理念と技術を融合させた作品を生み出しました。彼の業績は、後の世代の芸術家たちに大きな影響を与え、現代においてもその作品は高く評価されています。彼自身の生涯と功績は、芸術と歴史の両方に於ける重要な一ページを飾っています。

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