ベルディ・ベク

ベルディ・ベク（生年不詳 - 1359年）は、ジョチ・ウルスの第13代ハン（在位：1357年 - 1359年）であり、ジャーニー・ベクの子として生まれました。

1355年、父ジャーニー・ベクがチョバン朝支配下のアゼルバイジャンを占領した際、ベルディ・ベクは同地への駐屯を命じられました。父の重病の報を受け帰国を決意したベルディ・ベクは、アミール（貴族）のアヒジャクにアゼルバイジャンの統治を委ねます。

1357年、父ジャーニー・ベクと対立し、遂には父を殺害してジョチ・ウルスのハン位を簒奪しました。ジャーニー・ベクはジョチ・ウルスのイスラム化を推進していましたが、その政策に対する不満がベルディ・ベクの行動の背景にあったと考えられます。

しかし、ベルディ・ベクは簒奪後、自らの地位を確固たるものとするため、徹底的な粛清を行いました。実の兄弟12人を含む反対勢力を次々と殺害したことで、人々の不信と憎悪を買うことになります。その結果、1359年に弟のクルナによって暗殺され、短い治世を終えました。

ベルディ・ベクの死は、ジョチ・ウルスに深刻な混乱をもたらしました。後継者争いが激化し、各地で有力者が自立するようになります。ジョチ・ウルスは事実上分裂状態となり、その衰退を加速させる一因となりました。

登場作品

映画『オルド 黄金の国の魔術師』（2012年、ロシア、演：モゲ・ウルジャク）

参考文献

C.M.ドーソン『モンゴル帝国史』6巻（佐口透訳注、東洋文庫、平凡社、1979年11月）

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