ベルナルド・ベッロット

ベルナルド・ベッロット（1720年1月30日 - 1780年10月17日）は、イタリア・ヴェネツィア出身の風景画家であり、エッチングの原版制作者としても知られています。彼は、ヴェネツィアの著名な風景画家カナレットの甥にあたり、時折「ベルナルド・カナレット」と呼ばれることもありました。特にポーランドでは、カナレットの絵画と言えば、伯父ではなく彼を指す場合が多くあります。

画風の特徴

ベッロットの画風は、光の表現が明瞭で、精巧な建築物の描写と自然の眺望を組み合わせた作品に特徴があります。彼は、叔父のカナレットや他のヴェドゥータ（イタリア語で「眺め」の意味）の名手たちと同様に、カメラ・オブスキュラを用いて都市景観を正確に捉えました。しかし、叔父が理想的な風景を追求したのに対し、ベッロットは日常のありのままの光景を描くことに重点を置いた点が異なります。

生涯

ベッロットはヴェネツィアで生まれ、父ロレンツォ・ベッロットと母フィオレンツァ（カナレットの妹）の間に育ちました。彼は幼い頃から才能を認められ、14歳で叔父カナレットの工房に入り、絵画の修行を始めました。1742年には、ローマへ単身で旅し、都市のヴェドゥータを制作することで、初めて叔父の影響から離れて自身のスタイルを模索しました。1744年からはイタリア北部を旅し、各地でヴェドゥータを描き、画力を磨きました。

1745年、サヴォイア家のカルロ・エマヌエーレ3世からの依頼を受け絵画を制作。1747年には家族とともにヴェネツィアを離れ、その後故郷に戻ることはありませんでした。1747年から1758年にかけて、ザクセン選帝侯でありポーランド王でもあったアウグスト3世の招きでドレスデンへ赴きました。彼はドレスデンとその周辺の風景を多く描き、特にアウグスト橋下流のエルベ川右岸から見たドレスデン中心部の風景は「カナレット・ビュー」として有名で、ドレスデンを代表する景観の一つとなっています。これらの絵画は、第二次世界大戦中の空襲で破壊されたドレスデンの旧市街の復元において重要な資料となりました。

国際的な名声が高まるにつれ、1758年にはハプスブルク家の女帝マリア・テレジアに招かれウィーンへ移り、市内の記念碑的な建築物を描きました。その後、ミュンヘンを経て、再びドレスデンへ戻りました。サンクトペテルブルク滞在時には、ポーランド王スタニスワフ・アウグスト・ポニャトフスキの招聘を受け、ポーランド宮廷画家となりました。スタニスワフ王の画家として、彼は残りの人生をワルシャワで過ごし、首都の景観や王宮周辺の風景を数多く描きました。これらのワルシャワを描いた一連の作品は、第二次世界大戦で焼け野原となったワルシャワ歴史地区の復興に大きく貢献しました。

ベッロットは1780年にワルシャワで亡くなりました。彼の作品は、緻密な描写と美しい色彩によって、当時の都市の姿を現代に伝えています。

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