ベルナル・ディアス・デル・カスティリョ

ベルナル・ディアス・デル・カスティリョの生涯

ベルナル・ディアス・デル・カスティリョは、1496年にスペインのメディナ・デル・カンポで生まれました。彼の父は地域のレヒドール（町の参事）であり、そこそこの経済力を持っていたため、ベルナルも幼少期から良い教育を受ける環境に恵まれました。彼は読み書きのスキルを身につけ、将来の活動に備えました。

新大陸への渡航と征服活動

1514年、ディアスは新しい机会を求めてスペインから新大陸のキューバへ渡ります。しかし、渡航後の2年間は目立った成功を収めることができませんでした。その時期、キューバではスペイン人による強制労働や流行病が原因でインディオの数が激減し、労働力不足が深刻になっていました。1517年、ディアスはフランシスコ・エルナンデス・デ・コルドバが率いる遠征隊に参加し、ユカタン半島を発見するという成果を挙げましたが、途中での困難やマヤ人からの攻撃により、多大な苦労を強いられました。また、その後もフアン・デ・グリハルバ率いる遠征に参加し、再びユカタン半島を探索しました。

帰還途中にエルナン・コルテスによる新たな遠征が発足し、ディアスはその一員として参加します。この時の遠征は特に、アステカ王国への攻撃を開始し、歴史に名を残すことになりました。ディアスにとって、これがメキシコ征服の緒となる出来事でした。

メキシコ征服記の執筆

彼はメキシコ征服での数々の功績が認められ、グアテマラのサンティアゴ・デ・ロス・カバレロでレヒドールに任命されました。ディアスはその後、メキシコ征服から50年を経て、自らの経験を『メキシコ征服記』という形でまとめ始めました。この著作は1568年に完成しましたが、彼の死は1584年で、出版を見ることは叶いませんでした。

『メキシコ征服記』とは、ディアスの視点から見た征服の歴史であり、彼自身が参加した119回もの戦闘について詳述されています。この中で、彼は自らの戦功や、仲間たちの貢献を描写し、あくまで自身の体験を通して語られるものとなっています。先行するコルテスの従軍神父フランシスコ・ロペス・デ・ゴマラの著書『インディアス全史』では、コルテス個人の功績ばかりが強調されていますが、ディアスの著作には、彼自身や仲間たちの貢献が正当に記録されています。これにより、『メキシコ征服記』はアステカの滅亡とスペインの征服に関する重要な一次資料として評価されています。

まとめ

ベルナル・ディアス・デル・カスティリョの『メキシコ征服記』は、彼自身の目を通して描かれた貴重な歴史の証言です。彼の経験や戦闘の詳細は、アステカ文明の崩壊とスペインの征服の複雑な過程を理解する上で、非常に重要な資料となっており、後世に大きな影響を与えました。1861年には、彼の原稿がマドリード図書館で発見され、最終的にその内容が出版されることになりました。ディアス自身が果たした役割は、歴史の中で色褪せることのない重要な部分を成しているのです。

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