ベルネーム＝ジューヌ画廊

ベルネーム＝ジューヌ画廊：印象派から前衛芸術までを彩ったパリの老舗

ベルネーム＝ジューヌ画廊（Galerie Bernheim-Jeune）は、フランス・パリに位置する、美術史にその名を刻む由緒ある画廊です。印象派をはじめ、数々の巨匠たちの作品を世に紹介したことで広く知られています。その歴史は、18世紀、ドゥー県ブザンソンで画材商を営んでいたベルネーム家まで遡ります。

画廊の礎を築いたのは、アレクサンドル・ベルネーム（Alexandre Bernheim, 1839年-1915年）です。彼は、画材商であった父ジョセフの後を継ぎ、地元ブザンソンで活躍する画家たちと交流を深めました。ドラクロワ、コロー、クールベといった巨匠たちとの出会いは、彼の人生、ひいては美術史の大きな転換点となりました。

クールベの助言を受け、1863年、アレクサンドルはパリへと拠点を移し、ラフィット街に画廊を開設。当初はバルビゾン派の作品を中心に展示していましたが、1874年には画廊の歴史、そして美術史において重要な出来事が起こります。それは、当時まだ世に知られていなかった印象派の作品が、初めて一般に公開された瞬間でした。

1901年、アレクサンドルは、息子であるジョス・ベルネーム＝ジューヌ（Josse Bernheim-Jeune, 1870年-1941年）とガストン・ベルネーム＝ジューヌ（Gaston Bernheim-Jeune, 1870年-1953年）と共に、美術批評家ジュリアン・ルクレールの協力を得て、フィンセント・ファン・ゴッホの回顧展を開催します。これは、ゴッホの作品が広く認知されるきっかけとなり、美術史における画廊の重要性を示す出来事となりました。また、グスタフ・クールベの代表作『世界の起源』をハンガリーのコレクターに販売したのも、この画廊です。

1906年、ベルネーム兄弟は画廊をマデレーン大通りに移転。以降、ボナール、ヴュイヤール、セザンヌ、スーラ、キース・ヴァン・ドンゲン、マティス、ルソー、デュフィ、ド・ヴラマンク、モディリアーニ、ユトリロ、デュフレノワなど、錚々たる前衛的な画家たちの作品を次々と発表する場となりました。これらの作家たちは、後の近代美術、現代美術に多大な影響を与え、ベルネーム＝ジューヌ画廊はその発展に貢献したと言えるでしょう。

1925年には、現在の地であるマティニョン通りとフォーブル・サントノレ通りの角に移転。「19世紀と20世紀の名品展」という盛大なオープニングイベントには、フランス大統領ガストン・ドゥメルグも出席するなど、その注目度の高さを示しています。

ベルネーム＝ジューヌ画廊は、単なる絵画の販売場所ではなく、時代の最先端を行く芸術を世に送り出し、美術界の発展に大きく貢献した画廊として、美術史にその名を刻み続けています。印象派から前衛芸術まで、幅広い芸術をサポートし、数々の巨匠たちの作品を展示してきた歴史は、美術愛好家にとって、常に魅力的な存在であり続けているのです。

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