ベルリナーFCディナモ

ベルリナーFCディナモ：栄光と悪評に彩られたクラブの軌跡

ベルリナーFCディナモ（Berliner FC Dynamo）は、ドイツ・ベルリンを本拠地とするサッカークラブです。しかし、その歴史は単なるスポーツチームの物語ではありません。冷戦下の東ドイツにおいて、国家保安省（シュタージ）の庇護を受け、不正な手段で勝利を重ねたことで、悪名高い存在として知られています。

シュタージの影

クラブは1953年3月27日に「SVディナモ」として創設されました。当初は他のクラブと同様に存在していましたが、シュタージ長官のエーリッヒ・ミールケがその命運を大きく変えます。1954年、ミールケはディナモ・ドレスデンから有力選手を強引に引き抜き、「SCディナモ・ベルリン」として再編。この露骨な戦力補強により、クラブは短期間で2部リーグから1部リーグへと昇格を果たしました。

1966年には「BFCディナモ・ベルリン」と改称。東ドイツサッカー協会の強化策の一環として、「特別強化クラブ」に指定され、さらなる支援を受けます。しかし、1970年代に入ってもタイトルを獲得できず、ミールケは審判への圧力など、なりふり構わぬ手段に訴え始めます。その結果、1979年から1988年まで、リーグ10連覇という前人未到の記録を達成。しかし、その裏には不正な判定が横行し、ベルリン市民をはじめとする東ドイツ国民の反感を買うことになりました。

ドイツ再統一後の苦難

1990年のドイツ再統一後、クラブは過去との決別を試み、「FCベルリン」と改称。しかし、選手の自由な移籍が解禁されたことで、主力選手が流出し、戦力は低下の一途を辿ります。また、シュタージの圧力という後ろ盾を失ったクラブは、瞬く間に下位リーグへと転落。1999年に再び「BFCディナモ」へ戻したものの、2000-01シーズン中に経営破綻という憂き目に遭います。

その後、ベルリナーFCディナモとして再出発を果たし、2004年には5部リーグで優勝。オーバーリーガ（当時4部リーグ）に昇格するなど、再建の兆しを見せますが、かつての輝きを取り戻すには至っていません。

クラブの現状と未来

現在、ベルリナーFCディナモは、レギオナルリーガ・ノルトスト（4部リーグ）に所属しています。ホームスタジアムは、10,000人収容の「ディナモ・シュポルトフォールム」。かつて東ドイツ時代には「フリードリッヒ・ヤーン・シュポルトパーク」を使用していましたが、経営難のため手放しています。

ベルリナーFCディナモは、その歴史において栄光と屈辱を経験しました。シュタージの支援による不正な勝利は、クラブに拭い去れない汚名を残しました。しかし、クラブは過去の過ちを反省し、新たなスタートを切ろうとしています。ベルリナーFCディナモが、再び輝きを取り戻すことができるのか、その挑戦はまだ始まったばかりです。

タイトル

DDRオーバーリーガ: 10回 (1979, 1980, 1981, 1982, 1983, 1984, 1985, 1986, 1987, 1988)
FDGBポカール: 3回 (1959, 1988, 1989)
GDRスーパーカップ: 1回 (1989)
Paul Rusch CUP　: 1回(1999)
オーバーリーガ・Nordost-Nord : 1回(2002)
Verbandsliga Berlin: 1回(2004)

歴代監督

ユルゲン・ボグス (1977-1989)

主な所属選手

アンドレアス・トーム (1974-1990)
ライナー・エルンスト (1975-1990)
トーマス・ドル (1986-1990)
* ソロモン・オコロンコ (2017-2018)

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