ベルリン地下鉄の車両

ベルリン地下鉄の車両

ベルリンの地下鉄で活躍する車両は、主に車体サイズの違いによって大きく二つのグループに分けることができます。

一つは、U1号線からU4号線にかけて使用される「小型規格（Kleinprofil）」と呼ばれる車両群です。これらの車両は車体幅が2.30メートル、高さが3.10メートルで、最大8両編成を組んだ際の全長は約103メートルになります。

もう一つは、U5号線からU9号線にかけて使用される「大型規格（Großprofil）」と呼ばれる車両群です。こちらは車体幅が2.65メートル、高さは小型規格と同じ3.10メートルですが、標準的な編成は6両で、全長は約99メートルです。

どちらの規格も、軌間は世界的に広く用いられている1435ミリメートルの標準軌を採用しており、電力供給は線路脇に設置された第三軌条から直流750ボルトで受けます。しかし、決定的な違いは集電方式にあります。小型規格の車両は第三軌条の上部から集電するのに対し、大型規格の車両は下部から集電するため、両規格の車両は互いに乗り入れることができません。

興味深いことに、日本で最初の地下鉄として開業した東京地下鉄道（現在の東京メトロ銀座線）の1000形電車の車体色は、ベルリン地下鉄の初期車両の色調に影響を受けたと言われています。

大型規格の主要車両

H形

アルミニウム合金製の軽量車体を採用し、外観はプラグドアが特徴です。車内には液晶式の広告モニターが設置されるなど、近代的な設備を備えています。1995年から2001年にかけて、アドトランツ社（当時）で6両編成が46本製造されました。全長は98.7メートル。この形式で、ベルリン地下鉄の車両として初めて、編成内の全ての車両間を自由に行き来できる貫通路が導入されました。

F形

1974年から1993年にかけて長期間にわたり導入された系列です。製造時期によって仕様が異なるいくつかのバリエーションが存在します。基本編成は2両ユニットで、それぞれの車両に運転台が設けられており、柔軟な編成組成が可能です。

小型規格の主要車両

IK形

2015年に登場した比較的新しい形式です。スイスの鉄道車両メーカーであるシュタッドラー・レール社が製造を担当しました。まず試験用のプロトタイプ編成2本が運行を開始し、2017年以降に量産車38編成が順次納入される計画が進められました。4両編成を基本とし、小型規格ながら車体幅が従来の車両より10センチ拡大されて2.4メートルとなっているのが特徴です。この車両には、一般公募によって「Icke（イッケ）」という愛称が付けられています。

HK形

2001年に試作編成が登場し、その後の評価を経て、2007年以降に20編成を超える車両が順次導入されました。4両編成で構成され、通常は2本の編成を連結した8両編成としてU2号線を中心に運用されています。大型規格のH形と同様に、編成内の全車両間が貫通路で結ばれています。

GI形

1970年代に旧東ドイツで開発・製造された車両です。その直線的で飾り気のない外観から、かつては「労働者のコンテナ」というニックネームで呼ばれることもありました。現在も運行されているのは、主に後期に製造されたGI/1と呼ばれるグループです。前期に製造された車両のうち約60本は、かつて平壌地下鉄に譲渡されましたが、2001年に運用を終え、現在は一部編成が改造を受けて北朝鮮国内の地上路線で使用されています。これらの車両は製造後に複数回の更新工事を受けており、特に2000年代以降に更新された車両はGI/1Eと呼ばれます。2009年頃の時点では、1070〜1095の番号を持つ4両固定編成として運用され、主に2編成連結の8両編成でU2号線で活躍していました。

A3形・A3L形

1966年から長年にわたり運用されているベテラン形式です。2両編成を基本とし、両方の車両に運転台を備えています。小型規格の全系統で中心的に使用される主力車両であり、特にU1、U3、U4号線では主に2両または6両編成（A3形を複数連結）で運用されるため、その多くがこの形式で占められています。車両の延命と近代化を図るため、更新工事が施されています。

過去の車両

これまでにベルリン地下鉄で活躍した多くの旧型車両の中には、歴史的な価値から動態保存されているものも存在します。これらの車両は、特別なイベントなどの機会に本線上で走行する姿を見ることがあり、多くの鉄道ファンや市民に親しまれています。

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