平壌地下鉄

平壌地下鉄の概要と特徴

平壌地下鉄（ピョンヤンちかてつ）は、朝鮮民主主義人民共和国、通称北朝鮮の首都・平壌市に位置する地下鉄システムです。1968年から建設が開始され、1973年9月6日に、朝鮮半島初の地下鉄路線として千里馬線と万景台線が開通しました。その後も拡張が続き、1978年に革新線が全面開通。現在は千里馬線と革新線の2路線が運行されています。

建設と運営

建設は主に朝鮮人民軍の兵士や一部囚人が動員される形で行われ、いわゆる人海戦術が講じられたとされています。運賃は均一で、2017年には利用者が1回5ウォンに設定されていました。地下鉄のシンボルマークは、朝鮮語で地下鉄を意味する「지하철도」（チハチョルト）を基にしたものです。運営は「内閣保安省」の「第23局地下鉄道運営管理局」が担当し、管理所が8つに分かれています。この管理局には、エスカレーターや通信設備、そして路線の管理等を担当する部隊が存在しています。

2019年には、平日1日あたり約40万人が利用しているとの報告があり、利用者の多さが伺えます。

路線と車両

総距離は約35kmで、千里馬線が約20km、革新線が約15kmです。各路線の軌道は標準軌の1435mmで、第三軌条方式による直流825Vでの集電が行われています。運行に際しては自動閉塞式が採用されています。現在の運行車両には、ベルリン地下鉄から譲渡された車両が使われていますが、新型車両も一部導入されています。特に、金鍾泰電気機関車連合企業所製の100型車両は、LCD画面を装備し、各停車駅の案内をデジタルで行うことができます。

観光と利用制限

外部からの観光客は、平壌地下鉄を乗車体験する形で利用することができますが、観光当局が指定したルートに限定され、自由に利用することはできません。1990年代まで外国人には公開されておらず、特定のエピソードを経て、徐々に乗車可能となりました。2015年秋には全線が観光客に開放され、2019年には追加料金を支払うことで全駅の利用が可能となるオプションツアーも登場しています。しかし、ガイドが常に同行し、撮影に制限がかかることもあります。

駅構造と設備

駅は一般に旧東側諸国の地下鉄と似た構造を持っています。地上から改札口まではターンスタイル自動改札機を通過し、最近ではICカードも利用可能になっていますが、外国人の場合はガイドの案内で特別な出入り口から入ることもあります。深さは平均90m、最も深いところでは150mに達し、世界で最も深い地下鉄の一つです。

駅のプラットフォームにはシャンデリアのような照明や巨大な壁画が施され、特に政治的なテーマに基づく名が多いです。駅のリニューアル工事も進められており、最新の設備が導入されています。

このように平壌地下鉄は、北朝鮮の特殊な社会背景を持つ交通インフラとして、独特な運営形態と観光体験を提供しています。

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