ベルリン地下鉄5号線

ベルリン地下鉄5号線（Linie U5）

ベルリン地下鉄5号線（U5）は、ドイツの首都ベルリン市内を東西に貫く重要な地下鉄路線です。かつては独立した路線であった55号線（U55）の区間も含め、現在は総延長22.4km、26の駅を結んで運行しています。この路線は、ベルリン中央駅という主要な交通結節点から始まり、市の中心部を経由して東部のヘーノウ駅に至ります。

路線の歴史と変遷

5号線の歴史は古く、最初の区間であるアレクサンダー広場駅とフリードリヒスフェルデ駅の間が運行を開始したのは1930年12月21日のことでした。第二次世界大戦後のドイツ東西分断期において、ベルリン地下鉄の路線網の中で、5号線は全区間が東ベルリンの領域内に位置していた唯一の路線という特別な地位を占めていました。このため、東ドイツ政府主導のもとで延伸計画が進められ、ベルリンの壁建設後も工事が継続されました。

1989年7月1日、ベルリンの壁崩壊を間近に控えた時期に、路線は東方向へさらに延伸され、ルーイ＝レヴィーン＝シュトラーセ駅およびヘーノウ駅までが開通しました。この延伸により、現在の路線の骨格が完成しましたが、当時の終点であったルーイ＝レヴィーン＝シュトラーセ駅とヘーノウ駅は、行政上は東ベルリン市外のフランクフルト（オーダー）県の管轄下にありました。しかし、1990年のドイツ再統一を経て、これらの地域もベルリン市域に編入され、現在に至ります。

55号線との統合

一方、ベルリン中央駅周辺のアクセス改善を目的として、2009年8月8日には、ベルリン中央駅、ブンデスターク駅、ブランデンブルク門駅を結ぶ1.8km、3駅の区間が、独立した路線「55号線」として開業しました。この路線は、将来的に既存の5号線と接続することが計画されており、「地下鉄のスタブ」や「議会線」などとも呼ばれていました。

長らく分断されていた両路線は、2020年12月4日のブランデンブルク門駅とアレクサンダー広場駅間の新線開業をもって遂に結ばれました。この接続により、55号線としての運行は終了し、全区間が「5号線」として一体的に運行されるようになりました。これにより、ベルリン中央駅から市の中心部を経て東部まで、乗り換えなしで移動することが可能となり、首都の公共交通網における利便性が大幅に向上しました。

運行とサービス

現在の5号線は、ベルリン中央駅からヘーノウ駅まで、合計26駅に停車します。運賃ゾーンについては、ベルリン中央駅からフランクフルター・アレー駅までの区間がZone Aに、マクダレーネンシュトラーセ駅からヘーノウ駅までの区間がZone Bにそれぞれ含まれます。運行間隔は、平日においては概ね5分から10分間隔、週末や休日においては5分から15分間隔での運行が基本ダイヤとなっています。

駅一覧

現在の5号線の停車駅は以下の通りです。

ベルリン中央駅 (Berlin Hauptbahnhof)
ブンデスターク駅 (Bundestag)
ブランデンブルク門駅 (Brandenburger Tor)
ウンター・デン・リンデン駅 (Unter den Linden)
ムゼウムスインゼル駅 (Museumsinsel)
赤の市庁舎駅 (Rotes Rathaus)
アレクサンダー広場駅 (Alexanderplatz)
シリングシュトラーセ駅 (Schillingstraße)
シュトラウスベルガー・プラッツ駅 (Strausberger Platz)
ヴェーバーヴィーゼ駅 (Weberwiese)
フランクフルター・トーア駅 (Frankfurter Tor)
ザマリーターシュトラーセ駅 (Samariterstraße)
ベルリン・フランクフルター・アレー駅 (Frankfurter Allee)
マクダレーネンシュトラーセ駅 (Magdalenenstraße)
ベルリン＝リヒテンベルク駅 (Lichtenberg)
フリードリヒスフェルデ駅 (Friedrichsfelde)
ティーアパルク駅 (Tierpark)
ビースドルフ＝ズュート駅 (Biesdorf-Süd)
エルスターヴェルダアー・プラッツ駅 (Elsterwerdaer Platz)
ベルリン＝ヴーレタール駅 (Wuhletal)
カウルスドルフ＝ノルト駅 (Kaulsdorf-Nord)
キーンベルク（ゲルテン・デア・ヴェルト）駅 (Kienberg (Gärten der Welt))
コットブッサー・プラッツ駅 (Cottbusser Platz)
ヘラースドルフ駅 (Hellersdorf)
ルーイ＝レヴィーン＝シュトラーセ駅 (Louis-Lewin-Straße)
ヘーノウ駅 (Hönow)

5号線は、ベルリンの歴史的な変遷を反映しつつ、現在のベルリン市民や観光客にとって不可欠な交通手段の一つとなっています。

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