ベル・エキセントリック

『ベル・エキセントリック』について

加藤和彦のソロアルバム『ベル・エキセントリック』（1981年7月25日発売）は、彼の第7作目にあたります。このアルバムは、彼と歌詞を手がけた安井かずみとのコラボレーションによる『ヨーロッパ三部作』の第三弾で、パリと東京でのレコーディングを経て生まれました。この作品は、1920年代のパリをテーマにしており、当時その文化や芸術が栄えていた時代を振り返っています。

制作背景

『ベル・エキセントリック』の初期のアイデアは1979年に制作された『パパ・ヘミングウェイ』の過程で浮かび上がりましたが、安井によって更なる準備が必要とされました。その間、1980年にはベルリンをテーマにしたアルバム『うたかたのオペラ』が制作されたのです。続いて、このコンセプトアルバムの制作が1979年から1981年の間に進められました。この時期、加藤と安井は日常生活の中で1920年代の話題を共有しており、それがアルバムの内容に深く影響を与えたと考えられています。

レコーディングは、フランスのパリ郊外に位置するシャトゥ・スタジオで行われました。このスタジオは古い城館を改装したもので、環境に身を置くことでミュージシャンたちの士気が高まることを狙いとした合宿形式を採用していました。前作とほぼ同様の音楽家が参加しましたが、急病で欠席していた坂本龍一が復帰し、YMOのメンバー全員が海外でレコーディングに臨んだ初のアルバムとなりました。

1981年4月、細野晴臣はスペインから、また高橋幸宏はイギリスからそれぞれ参加して、シャトゥでの録音は波乱の中で行われましたが、約1週間の間に6曲を録音しました。その後、帰国し東京で打ち込みを中心とした4曲もレコーディングされました。

サウンドと特徴

本作のサウンドにおいては、エフェクトが多用されていることが特徴です。音楽評論家の牧村憲一によれば、シャトゥでの録音分のほとんどは加工が施されており、オリジナルの生音が見られるのは坂本によるチェンバリンのパートの一部だけとされています。また、アルバムに収録された曲のうち5曲は、2017年にリリースされたコンピレーションアルバムに収録されています。

アートワーク

アルバムタイトルはエリック・サティの作品に由来しており、カバーアートは加藤の友人である金子國義の絵画が使用されています。アート・ディレクションは渡邊かをるが担当し、またデザインには特色の金色が使われ、歌詞は縦書きで印刷されました。出版時にはライナーノーツにて海野弘による1920年代パリに関する解説も収められています。

リミックスとプロモーション

本作を含む『ヨーロッパ三部作』は1982年にコンピレーションアルバム『アメリカン・バー』に際してデジタルリミックスが行われ、その後もリリースされる作品で再利用されました。さらに、アルバム発売当時にはプロモーション用にボトルにラベルを貼ったワインも配布されており、このラベルにも同じく金子の作品が採用されていました。

収録曲

収録曲には「ロスチャイルド夫人のスキャンダル」や「浮気なGigi」などがあり、それぞれユニークなテーマ性を持っています。「浮気なGigi」にはアルバムタイトルである「ベル・エキセントリック」というフレーズが盛り込まれています。

『ベル・エキセントリック』はその音楽スタイルやテーマにより、多くのファンを惹きつけている名盤です。加藤和彦の独自の視点と才能が光るこの作品は、今なお多くのリスナーに愛されています。

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