ベル実験

ベル実験とは

ベル実験（Belle experiment）は、日本の高エネルギー加速器研究機構（KEK）が運営するKEKB加速器とBelle測定器を用いて、B中間子におけるCP対称性の破れを探索する国際共同実験です。このプロジェクトは、1999年にスタートし、2010年にデータ取得を終了しました。ベル実験の続きとして、Belle II実験が始まっています。

このプロジェクトの名称「Belle」はフランス語で「美」を意味し、B中間子に含まれるボトム（bottom）クォークがかつて「ビューティ（beauty）」クォークと呼ばれていたことに由来しています。さらには、B・e・l・l・eという文字の遊びも含まれており、B中間子が電子と陽電子の衝突から生成される様子を象徴しています。研究チームは400人以上の物理学者と技術者から成る大規模なものでした。

研究成果

2007年3月2日には、B中間子の崩壊において量子力学的効果が確認され、量子もつれの現象が明らかになりました。このような成果は、BELLEプロジェクトが進めてきた研究の一部に過ぎません。実験では、B中間子の崩壊に見られるCP対称性の破れに関する研究、小林・益川模型の精密検証、さらには新粒子の探索やD中間子、τレプトンの崩壊研究も行われました。

Belle測定器

KEKB加速器の円形リング内に設置されたBelle測定器は、電子と陽電子の衝突による反応を記録します。この測定器のサイズは約8m×8m×8m、重量は1,500トン近くに及び、その中には複数のサブ測定器が組み込まれています。これにより、粒子の運動量やエネルギー、崩壊点、さらには粒子の種類を精密に測定することが可能です。特筆すべきはエアロゲルを用いたACC（Aerogel Cherenkov Counter）で、この装置は粒子の運動量に基づいてパイ中間子とK中間子を識別します。

ロゴデザイン

ベル実験のロゴは青色の背景に「B」の文字が描かれており、研究対象であるB中間子を象徴しています。興味深いことに、「B」を横にすると電子と陽電子（電子の反粒子）の象形が浮かび上がります。このデザインはB中間子が電子と陽電子の衝突で生成されることを示しています。ロゴの下に記された「BELLE」は一見、正しい綴りのようですが、実際には「Belle」が正しい名称です。

B-Lab（ビー・ラボ）

B-Labは新たな素粒子発見を目指す公開データ解析プログラムであり、主に高校生を対象としています。参加者は、KEKのスタッフの指導のもと、Belle実験で集められたデータを分析し、新しい粒子の存在にチャレンジすることができます。成功すれば発見者として名前が測定器に刻まれる栄誉が与えられます。

Belle Plus

Belle Plusは高校生向けの素粒子サイエンスキャンプで、毎年7月末から8月にかけて開催されます。このキャンプでは、Belleの研究者による指導のもと、高校生が研究活動を体験し、特にソフトウェアとハードウェアのコースが設けられています。

まとめ

ベル実験は、素粒子物理学の進展に多大な貢献があり、その成果は世界中の物理学界で注目されています。新たな研究やキャンプを通じて、次世代の科学者が育成されることに期待が寄せられています。

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