ベントレー・ターボRT

ベントレー ターボRT：ラグジュアリーセダンの頂点

1997年から1999年という短い期間、ベントレーモーターズは、その歴史に名を刻む傑作、ターボRTを世に送り出しました。同社のターボシリーズにおける最終モデルにして、最もパワフルで高価な存在として君臨したこの高級セダンは、まさに贅の極みと言えるでしょう。

圧倒的なパフォーマンス

ターボRTの心臓部には、コンチネンタルT譲りの6.75リットルツインターボエンジンが搭載され、298kWという驚異的なパワーを発生させました。この圧倒的な出力により、最高速度は245km/hに到達。当時、4ドアセダンとしては世界最速の称号を獲得したのです。その加速性能も想像を絶するもので、ドライバーに強烈な走りの喜びをもたらしたに違いありません。

洗練されたデザイン

先代モデルであるターボRと比較すると、ターボRTはいくつかの点で差別化が図られています。スポーティなデザインのホイール、存在感を増したメッシュグリル、ボディ同色のバンパーにメッシュインサートが組み込まれるなど、より洗練された印象を与えています。これらのデザイン上の変更は、単なる装飾ではなく、走行性能の向上にも貢献していると言えるでしょう。

希少価値の高い限定モデル

ターボRTの生産台数はわずか252台。その希少性も、このモデルを特別な存在たらしめている要因の一つです。さらに、限定モデルとして、特別な仕様の車両が製作されました。

ベントレー ターボRT オリンピアン

ロンドンのディーラー、ジャック・バークレイの依頼によって製作されたオリンピアンは、ターボRTの中でも最も希少なモデルです。マリナーバージョンから採用された5スポークアロイホイールと、専用のオリンピアンバッジが特徴。推定4台しか生産されていないと言われ、コレクター垂涎の逸品となっています。

ベントレー ターボRT マリナー

受注生産によって製作されたマリナーバージョンは、さらに特別な仕様となっています。エンジン出力は313kWに向上、最大トルクも861Nmに達し、圧倒的なパワーとトルクを誇ります。ボディワークやオプションを自由に選択できる点が特徴で、まさにオーナーの個性を反映した一台を手に入れることができたと言えるでしょう。このモデルには、新しいターボチャージャーの採用とエアインテークの改良が施され、パフォーマンスの大幅な向上が実現しています。255/55タイヤと18インチのスポーツアロイホイールも、マリナーバージョンならではの装備です。クルーに拠点を置くベントレーのコーチビルダーが製作を担当し、高い品質とクラフトマンシップを凝縮したモデルとなっています。

生産と販売

ターボRTは1997年から1998年のわずか2年間のみ生産されました。その総生産台数はオリンピアンを含め252台です。マリナーバージョンは56台が生産され、そのうち7台が右ハンドル仕様でした。標準ホイールベースとロングホイールベース版が存在し、ロングホイールベース版は49台が生産されました。アメリカでの価格は22万1600ドルと、先代モデルのターボRよりも6万5000ドルも高額でしたが、それでも多くの人々を魅了したことは間違いありません。

まとめ

ベントレー ターボRTは、その圧倒的なパワー、洗練されたデザイン、そして希少性から、多くの自動車愛好家から高い評価を受けています。短い生産期間と限定された生産台数は、この車が持つ特別な価値をさらに高めています。今日、中古市場に出回ることは稀であり、もし出会うことができたなら、それはまさに幸運と言えるでしょう。その存在感は、今もなお多くの自動車ファンの心を掴み続けています。

もう一度検索