ベーオウルフの登場人物の一覧

『ベーオウルフ』登場人物解説

『ベーオウルフ』は、7世紀から10世紀頃に成立したとされる古英語の叙事詩であり、英雄ベーオウルフの活躍を中心に、当時の社会や文化、価値観を描いた作品です。物語には、ベーオウルフをはじめとする多くの人物が登場し、それぞれが独自の背景や役割を持っています。以下に、『ベーオウルフ』に登場する主な人物を解説します。

イェーアトの人々

ウィーイラーフ (Wiglaf): ベーオウルフの親族であり、竜との戦いで窮地に陥ったベーオウルフを助ける勇敢な戦士。英雄的な資質を備えています。
ウォンレード (Wondred): エオヴァルとウルフの父。
ウルフ (Wulf): ウォンレードの子で、エオヴァルの兄弟。ヒイェラークの指揮下でエオヴァルと共にスウェーオンの王オンゲンセーオウを追い詰めます。
エオヴァル (Eofor): ウォンレードの子で、ウルフの兄弟。オンゲンセーオウを討ち取り、ヒイェラークから褒賞を受けます。名前は古英語で「猪」を意味します。
エッジセーオウ (Ecgþeow): ベーオウルフの父であり、高名な戦士。ヘアゾラーフ殺害によりイェーアトから追放され、デネに身を寄せます。「剣を下僕とする者」という意味の名前を持ちます。
スウェルティング (Swerting): ヒイェラークの祖父。
ハスキュン (Hæþcyn): イェーアトの王フレーゼルの次男で、ヒイェラークの兄。狩りの最中に兄ヘレベアルドを誤射で殺害し、スウェーオン軍との戦いで戦死します。
ヒイェラーク (Hygelac): イェーアトの王であり、ベーオウルフの叔父。フリジア遠征で戦死し、史実にも登場する人物と考えられています。
ヒュイド (Hygd): ヒイェラークの妻。聡明で気前が良く、女王として相応しい人格の持ち主。ベーオウルフに王位を継承するよう請います。
フレーゼル (Hrethel): イェーアトの王であり、ヘレベアルド、ハスキュン、ヒイェラークらの父。ベーオウルフの母方の祖父。
ヘアルドレード (Heardred): ヒイェラークとヒュイドの息子。スウェーオンの内戦に巻き込まれて死亡します。
ヘレベアルド (Herebeald): イェーアトの王フレーゼルの長男。狩りの最中に弟ハスキュンの誤射で死亡。
ヘレリーチ (Hereric): ヘアルドレードの親族。
ベーオウルフ (Beowulf): 叙事詩の主人公。
ホンドシオーホ (Hondscio): ベーオウルフのグレンデル討伐に同行した戦士の一人。グレンデルに食い殺されます。

デネの人々

アッシュヘレ (Æschere): フロースガール王の相談役であり、グレンデルの母に殺害されます。
ウェアルフセーオウ (Wealhþeow): フロースガールの妻。政略結婚の性質を備えていた事が窺えます。
ウルフガール (Wulfgar): ウェンデル人の長であり、フロースガール王の廷臣。
ウンフェルス (Unferð): フロースガールの廷臣。
エッジウェラ (Ecgwela): 詳細不明のデネの王。
エッジラーフ (Ecglaf): ウンフェルスの父親。
オネラの妻: スウェーオンのオネラへと嫁いだデネ王家所縁の女性。
シュルド (Scyld): デネの地に漂着し、後の王家の祖となる。
ハールガ (Halga): フロースガールの弟であり、フローズルフの父。
フレーアワル (Freawaru): フロースガール王とウェアルフセーオウ女王の娘。ヘアゾベアルド人の王インゲルドの妻。
フレースリーチ (Hreðric): フロースガールとウェアルフセーオウの長男。
フロースガール (Hroðgar): デネの王であり、ウェアルフセーオウの夫。
フロースムンド (Hroðmund): フロースガールとウェアルフセーオウの次男。
フローズルフ: フロースガールの甥。
ヘアルフデネ (Healfdene): フロースガールの父親であり先の王。
ヘアロウェアルド (Heoroweard): ヘオロガールの息子でありフロースガールの甥。
ヘオロガール (Heorogar): フロースガール王の兄であり、先王。
ヘレモード (Heremod): 初期のデーン人の王。
ベーオウ (Beow): シュルドの子でありデーン人の初期の王。
ユルメンラーフ (Yrmenlaf): アッシュヘレの弟。

スウェーオンの人々

ウェーオホスターン (Weohstan): ウェーイムンディング族の戦士であり、ウィーイラーフの父親。
エーアドイルス (Eadgils): オーホトヘレの子、エーアンムンドの弟。ベーオウルフの援助を得てオネラを倒しスウェーオンの王となる。
エーアンムンド (Eanmund): オーホトヘレの子、エーアドイルスの兄。
オーホトヘレ (Ohthere): エーアドイルスとエーアンムンドの父親であり、オネラの兄弟。
オネラ (Onela): オーホトヘレの兄弟。
オンゲンセーオウ (Ongentheow): スウェ－デン王。

その他の登場人物

アルフヘレ (Ælfhere): ウィーイラーフとベーオウルフの縁者。
インゲルド (Ingeld): ヘアゾベアルドの王。フロースガールの娘フレーアワルと婚約します。
ウィゼルユルド (Wiðelgyld): ヘアゾベアルドの戦士。
ウェーランド (Wayland Smith): ゲルマン人の伝承に伝わる鍛冶師。
カイン (Cain): 聖書における人類史初の殺人者。グレンデルの先祖とされます。
グレンデル (Grendel): ベーオウルフの敵。
グレンデルの母親: ベーオウルフの敵。
デイフレヴン (Dæghrefn): ベーオウルフに殺害されたフーグ人(フランク族)の戦士。
ブレカ (Breca): ベーアンスターンの子。ベーオウルフの幼馴染であり、水泳競争をします。
フローダ (Froda): ヘアゾベアルド人の王でありインゲルドの父親。
ヘアゾラーフ (Heaðolaf): ベーオウルフの父親であるエッジセーオウに殺されたウュルヴィング族の者。
ベーアンスターン (Banstan): ブレカの父親。
ヘレス (Hæreð): ヒュイドの父親。
メロヴィング (Merewing): メロヴィング朝の王。
竜 (Dragon): ベーオウルフの王国を荒らす獣。ベーオウルフによって討伐されます。

挿話にのみ登場する人物

ウェルス (Wæls): シイェムンドの父親。
エーオメール (Eomær): オッファとモードスリューゾの息子。
エオルメンリーチ (Eormenric): ハーマにブロージング族の手による首飾りを盗まれた人物。
オースラーフ (Oslaf): 「フィンの挿話」の登場人物。
オッファ (Offa): アングルス人の王。モードスリューゾの夫でありエーオメールの父親。
ガールムンド (Garmund): オッファの父親。
グースラーフ (Guðlaf): 「フィンの挿話」の登場人物。
シイェムンド (Sigemund): 北欧伝承におけるシグムンド。
ハーマ (Hama): 北欧伝承におけるハイメ。
ヒルデブルフ (Hildeburh): 「フィンの挿話」の登場人物。ホークの娘でありフネフの姉妹。フィンの妻。
フィテラ (Fitela): 北欧伝承におけるシンフィヨトリ。
フィン (Finn): 「フィンの挿話」の登場人物。フリジア人の王でありヒルデブルフの夫。
フーンラーフ (Hūnlāf): 「フィンの挿話」の登場人物。
フォルクワルダ (Folcwalda): 「フィンの挿話」の登場人物。フィンの父親。
フネフ (Hnæf): 「フィンの挿話」の登場人物。ヘアルフデネ族の族長。ホークの息子でありヒルデブルフの兄弟。
ヘムミング (Hemming): ガールムンドの縁者。
ヘンジェスト (Hengest): 「フィンの挿話」の登場人物。
ホーク (Hoc): 「フィンの挿話」の登場人物。ヒルデブルフとフネフの父親。
* モードスリューゾ (Modþryð): かつては自分を直視した臣下に対し、侮辱の意を込めたと断じて例外なく処刑していた恐ろしい女性。後にオッファ王と結婚し女王となってからはこの凶行は鳴りを潜めました。

これらの人物たちは、『ベーオウルフ』の世界を豊かに彩り、物語のテーマをより深く掘り下げる役割を果たしています。彼らの行動や関係性を理解することで、『ベーオウルフ』という作品をより深く味わうことができるでしょう。

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