ベーラ3世 (ハンガリー王)

ベーラ3世

ベーラ3世（1148年頃 - 1196年）は、ハンガリー王国アールパード朝の国王であり、同時にクロアチア国王としても知られています。彼は王ゲーザ2世とエフロシニヤ・ムスチスラヴナの次男であり、1172年から1196年までの長い期間、国家を治めました。

幼少期と初期の治世

ベーラの幼少期は王族として過ごしました。1161年頃には、彼は母からクロアチア、ダルマチア中央部、シルミウムを含む公国を授与されました。彼の兄イシュトヴァーン3世が王位に就いた後、国の激しい政治的対立が続きました。ヘーヴィン領の権力争いが進む中、1163年にベーラは東ローマ皇帝マヌエル1世に送られ、改名された際、デスポトの尊称を授与されました。この時期、彼はマヌエル1世の娘マリアとの婚約も取り決められますが、後に破棄されることになります。

戦争と政治的混乱

ベーラは兄の王位の争いと東ローマ帝国の勢力との戦争に深く関与しました。1164年から1167年にかけてハンガリーと東ローマの間で武力衝突が発生し、ベーラも戦役に出征しました。1169年には、マヌエル1世が男子を授かり、彼の地位が変化します。その後、1172年に兄の死を受け、ついにハンガリー王として即位しました。彼の即位は、教皇アレクサンデル3世の承認のもとで実現しましたが、教会内部の対立も影響し、エステルゴム大司教との間で緊張が高まりました。

国王としての施策

ベーラの治世はさまざまな対外的および内政の改革が試みられた時期でもあります。彼は特に教育の重要性を理解しており、筆記文化の広がりを図りました。王室裁判所の設立は、政務の効率化や証書発行の制度化など、彼の治世に重要な役割を果たしました。ベーラは、1150年代から1160年代のフランスの建築スタイルを取り入れ、エステルゴムにおいてもゴシック様式の宮殿建設が進められました。

繁栄と対外拡張

彼の治世中、ハンガリーは経済的に繁栄し、ダルマチアの領有権の再取得に成功しました。1181年には、東ローマ帝国との和平を結び、姻戚関係を築くことに成功しました。これにより、ベーラは国の安定に寄与しましたが、政治的な対立は続きました。

晩年と死

晩年、ベーラは王国の情勢に目を光らせながら、将来の王として長男イムレを育てました。1196年4月23日、彼は疾病により亡くなり、後にセーケシュフェヘールヴァールで埋葬されました。彼の死は、ハンガリー王国にとっての重要な分岐点となり、国の運命は後代の手に委ねられました。彼の治世を通じての業績や政策は、後世にも大きな影響を与え続けました。

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