ペイビアン

ペイビアン期の概要

ペイビアン、または日本語で「排碧期」と呼ばれるこの時代は、約4億9700万年前から約4億9400万年前までの期間にあたるカンブリア紀の一部を指します。この地質時代は、カンブリア紀の中で四番目の世として位置づけられており、前の時代であるガズハンジアンに続き、次の時期であるジャンシャニアンへと続きます。

酸素濃度の変動

ペイビアン期は、当時の大気および海洋の酸素濃度が現代よりも低かったことが特徴です。しかし、この時代には大気と海洋の酸素濃度が大幅に上昇し、結果的に今日のレベルを超える高い値に達しました。この急激な変化は生物の発展にとって非常に重要であり、生命の多様性が急増する基盤となったのです。

GSSPとその重要性

ペイビアンの名称は、中国の湖南省にある排碧という地域に由来しています。この時代の国際標準模式層断面及び地点（GSSP）は、湖南省湘西トゥチャ族ミャオ族自治州の花垣県に位置する五菱山脈の排碧セクションにあります。ここでは、華僑累層における露頭がペイビアン期の基準となっています。具体的には、華僑累層の基底から396メートルの地点で、三葉虫グリプタグノストゥス・レティクラトゥスの初出現がペイビアン階の基底と定義されています。このように、標準的な地層断面を持つことが、後の研究においてこの時代を理解するための重要な手がかりとなります。

SPCIE現象

ペイビアン階では、Steptoean Positive Carbon Isotope Excursion（SPCIE）と称される地球規模の現象が確認されています。名前からもわかる通り、これは炭素同位体比の高い状態を示す現象で、生物生産の増加に伴って軽い同位体である12Cが光合成生物に取り込まれ、結果的に海洋や大気中の重い同位体である13Cや14Cの比率が上昇したことを示しています。

SPCIEはまた、海底に多量の有機物が埋没して富栄養化が進行したことが大きな要因となっていると考えられています。当時のカンブリア紀の海においては、無酸素環境が突然変化し、大気中の酸素レベルが急速に上昇しました。SPCIE以降、大気中の酸素濃度は現在の約21%を超え、30%以上に達した可能性も指摘されています。このような酸素の急増は、生命の多様性の大きな爆発的増加に寄与したと考えられています。また、SPCIEは地球の真の極移動と関連していることも示唆されています。

結論

このように、ペイビアン期はカンブリア紀の中でも特に重要な時代であり、酸素濃度の急上昇が生物の発展を促したことは、地球の生物史における重要な変遷の一つとされています。研究が進むことで、この時代の生物や環境についての理解がより深まることが期待されています。

もう一度検索