カンブリア紀

カンブリア紀の概要

カンブリア紀（Cambrian period）は、古生代の初期に位置する地質時代で、約5億4200万年前から約4億8830万年前までを指します。この時期は、地球の海洋が広がり、様々な種類の生物が誕生した重要な期間です。カンブリア紀という名称は、ウェールズのラテン語名「カンブリア」から名付けられ、アダム・セジウィックによって提唱されました。アメリカの連邦地理データ委員会は、この時代を表す際には「Ꞓ」という記号を使用しており、キリル文字の「Є」が代用されることもあります。

生物の多様性

カンブリア紀の海洋には、以前の時代には見られなかったような多様な生物が登場しました。特に、節足動物である三葉虫やフデイシ、腕足類、サンゴなどが目立ちました。この時期は「カンブリア爆発」と呼ばれ、動物の多様性が急激に増大したと考えられています。これは、動物門のほとんどがこの時期に出現したためとも言われています。

この時間帯の生物は、現在の動物とは異なり、非常に奇妙な形態をしていることが多く、その特異性から「カンブリアンモンスター」とも呼ばれています。バージェス動物群の発見は、カンブリア紀の生物相の多様性を理解する上で重要な役割を果たしました。特に、20世紀末にはこの時期の生物群がそれまでの想像を超えるほど多様であったことが明らかになりました。

化石と先カンブリア時代

カンブリア紀以前の時代からは化石がほとんど発見されておらず、このことから歴史的にカンブリア紀が最古の地質時代区分として認識されるようになりました。このため、カンブリア紀以前の時代は「先カンブリア時代」と呼ばれています。ここから派生して、カンブリア紀の地層が最初に研究対象となることで、より古い地層があまり知られていないという特異な歴史が生まれました。

気候

カンブリア紀の気候については、詳細な情報は限られていますが、一般的には温暖であったと考えられています。また、極地域には氷河が存在しなかったとも言われています。このような気候条件が、多様な生物の発展に寄与したことは間違いありません。

日本におけるカンブリア紀

日本でもカンブリア紀に関する地層が発見されています。茨城県常陸太田市の西堂平層は、5億1100万年前に遡り、カンブリア紀の第二世第4期に属します。この他にも、日立市にかけて広がる赤沢層など、カンブリア系の地層が見つかっており、日本における古代の生態系を知る手がかりとなっています。

このように、カンブリア紀は地球の歴史において極めて重要な時代であり、動物の発展、地質的な変化、気候の影響など多くの側面から研究が進められています。

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