ペトロパブロフスク・カムチャツキー包囲戦

ペトロパブロフスク・カムチャツキー包囲戦

ペトロパブロフスク・カムチャツキー包囲戦は、1854年8月から9月にかけて、クリミア戦争の太平洋戦線で発生した重要な戦闘です。この戦闘では、ロシア帝国が極東の最大拠点であるカムチャツカ半島のペトロパブロフスクを防衛するために、イギリス・フランス連合軍の艦隊との激しい戦いを繰り広げました。

当時、ペトロパブロフスクはロシアにとって非常に重要な戦略拠点であり、東シベリア総督ニコライ・ムラヴィヨフの指揮の下、カムチャツカ小艦隊が配備されていました。この艦隊には、フリゲートのアヴローラや輸送船ドヴィナなどの艦艇が含まれており、これらはペトロパブロフスクの港に避難していました。これに対し、イギリスとフランスの連合軍は、艦船を合わせて9隻を展開し、大規模な攻撃を開始しました。

開戦と攻撃

攻撃は1854年8月28日に始まり、連合軍はアバチャ湾に艦隊を投錨し、ペトロパブロフスクに向けて砲撃を開始しました。ロシア側は67門の大砲を持つ守備隊で応戦しましたが、連合軍の艦隊は圧倒的な火力で攻撃を続けました。困難な状況の中、ペトロパブロフスクの守備隊はフリゲートのアヴローラとドヴィナを持って自らの防衛を固めました。

指揮官の交代

しかし、指揮官であった海軍少将デイヴィッド・プライスが自殺し、その後指揮を受け継いだフレデリック・ニコルソン艦長は、連合軍の作戦を引き続き指導しました。ペトロパブロフスクの守備隊はわずか1,000人であり、英仏連合軍の本格的な上陸に備えていました。9月4日、湾内の700人の連合軍陸戦隊が上陸を試みたものの、激しい抵抗にあい撤退を余儀なくされました。

結果とその後

最終的に、英仏連合軍は9月7日に包囲作戦を断念し、ペトロパブロフスクから退去しました。この戦闘はロシアにとって重要な勝利であり、報告はイルクーツクを経由して首都サンクトペテルブルクに届けられましたが、防衛の難しさに鑑み、ニコライ・ムラヴィヨフは守備隊員の撤退を決定しました。1855年春、守備隊は雪に包まれたペトロパブロフスクを脱出し、全員が無事にアムール河口のニコラエフスクに到達しました。

この戦いの後、再度英国とフランスの艦隊がペトロパブロフスクを攻撃する計画を立てましたが、防衛が不可能であることが明らかになり、ペトロパブロフスクは無人のまま放置されました。英仏連合はその後カムチャツカの支配を模索することもなく、戦闘は収束しました。

参加艦船

攻撃に参加した艦船も注目に値します。イギリスの艦船には、旗艦のHMS PresidentやフリゲートHMS Piqueがあり、フランス側には旗艦のForteやEurydiceなどが含まれていました。これらの艦艇は、ロシアの艦船に対抗するための重要な役割を果たしました。

このように、ペトロパブロフスク・カムチャツキー包囲戦は、クリミア戦争の中でロシア帝国の防衛能力を試す重要な事件であり、当時の国際関係や軍事戦略においても特筆すべき出来事でした。

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