ペリスタイル

ペリスタイル（peristyle）とは

ペリスタイルは、古代ギリシャ及びローマの建築において、柱に囲まれたポーチまたは中庭を指します。この特徴的な構造は、中央に庭や装飾された空間を持つことが一般的であり、時には「tetrastoon」や列柱郭とも称されます。特に、ローマ建築の影響が色濃くみられるキリスト教の教会建築においても、その概念は継承され、旧サン・ピエトロ大[[聖堂]]のような大規模なバシリカは、ペリスタイルに囲まれた前庭を設けることで、外部世界から隔絶されていました。

ローマ建築におけるペリスタイルの発展

古代のローマにおいて、裕福な市民は彼らのヴィラ（農邸）を囲む形で、華麗な庭園を作り上げていました。一方、都市部に住むローマ人は、ドムス（都市住宅）の中に中庭を設け、その広々としたスペースは「peristȳlium」と呼ばれていました。この中庭は、周囲を柱やアーケードで取り囲まれた空間で、屋根が架けられ、さらに内壁には風景や視覚的錯覚を設計した壁画で装飾されることが多かったのです。

中庭には草花や低木、噴水や彫刻、さらには魚の泳ぐ池などの美しい景観が広がり、時には守護神であるラレースを祀るための小さな聖堂も設置されていました。このような演出により、ローマ人は生活空間に可能な限りペリスタイルを取り入れ、日常を豊かにしていました。また、北アフリカでは、特にペリスタイルの規模が大きくなりがちでしたが、時にはその拡充のために周囲のポルチコが縮小されることも見られました。

ペリスタイルの終焉

ローマのドムスの衰退は、古典文化の終焉の象徴とされており、実際、シモン・P・エリスは「ローマ様式のペリスタイルを持つ住宅が姿を消すことは古代の生活様式の終焉を意味する」と記しています。紀元550年以降、ペリスタイルを備えた邸宅の新築は行われなくなりましたが、同時に、宮殿的な建物は拡張と贅沢さを増し、権力と古典文化が特定の階級に集中する時代が到来します。特に、東ローマ帝国ではこの変化はさらに後の時期に起こり、最後のペリスタイル付き邸宅は530年から550年頃に建設されたアルゴスの「ファルコナーの家」とされています。

その他の利用と関連

加えて、古代エジプトの建築もローマやギリシャより古い時代から存在し、同様の構造はペリスタイルと呼ばれることがあります。また、レバント地域に見られる「イワーン」も、住宅の玄関ホールとしてペリスタイルと呼ばれることがあります。これらの構造は、ペリスタイルの概念が時空を超えて多くの文化に影響を与えていることを示しています。

このように、ペリスタイルは単なる建築様式に留まらず、古代文化や生活様式を豊かに表現する重要な要素でもあったのです。

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