ペルソ・テュルク戦争

ペルソ・テュルク戦争：中央アジアの覇権をかけた激突

ペルソ・テュルク戦争は、6世紀後半から7世紀前半にかけて、中央アジアの支配権を巡り、突厥とサーサーン朝ペルシアの間で繰り広げられた一連の戦争です。東西交易の要衝を掌握し、シルクロードの権益を独占しようとする両国の思惑が激しく衝突しました。この戦争は、サーサーン朝の衰退を早め、イスラム勢力の台頭を招く遠因となったとも言われています。

戦争の背景

6世紀、中央ユーラシアを席巻した突厥は、東西に広大な領土を築き上げました。一方、サーサーン朝ペルシアは、長年にわたるローマ帝国との抗争を終結させ、再び勢力を拡大していました。両国は、ソグディアナ（現在のウズベキスタン周辺）などの地域で国境を接するようになり、交易ルートの支配権を巡って対立を深めていきました。

三度にわたる戦い

ペルソ・テュルク戦争は、大きく分けて三つの時期に区分されます。

第一次ペルソ・テュルク戦争（588年 - 589年）

突厥は、サーサーン朝のホラーサーン地方に侵攻しました。しかし、サーサーン朝の名将バフラム・チョービン（英語版）の活躍により、突厥軍は撃退され、逆に領土の一部を奪われることとなりました。

第二次ペルソ・テュルク戦争（606年 - 608年）

サーサーン朝の内紛に乗じて、突厥は再び侵攻を試みました。しかし、この時もサーサーン朝軍の抵抗に遭い、決定的な勝利を得るには至りませんでした。

* 第三次ペルソ・テュルク戦争（627年 - 629年）

サーサーン朝の王位継承を巡る混乱に乗じて、突厥は大規模な侵攻を行いました。西突厥はサーサーン朝と手を結んだアヴァールと結託してコンスタンティノープルを包囲するなど東ローマ帝国にも圧力をかけました。しかし、サーサーン朝内部の権力闘争が激化し、突厥もまた内紛に見舞われたため、最終的には両国とも撤退しました。

戦争の影響

ペルソ・テュルク戦争は、中央アジアの勢力図に大きな影響を与えました。サーサーン朝は、この戦争によって国力を消耗し、その衰退を早めることとなりました。一方、突厥もまた、内紛によって東西に分裂し、その勢力を弱めることとなりました。この結果、中央アジアのパワーバランスは大きく崩れ、その後、イスラム勢力の拡大を許すこととなりました。また、この戦争は、シルクロードを通じた東西交易にも大きな影響を与え、交易ルートの変化や文化交流の停滞を招いたと言われています。

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