ペロン・トンボン

ペロン・トンボンは、アフガニスタンの男性が着用する伝統的な衣装で、上着の「ペロン」と下穿きの「トンボン」からなる上下セットの名称です。この衣装は、アフガニスタンの民族衣装を代表するものであり、その独特なデザインと機能性から、砂漠地帯の生活に適した服装として重宝されています。

デザインの特徴

ペロン・トンボンの最大の特徴は、そのゆったりとしたシルエットです。直線断ちで作られ、身体を締め付けることなく、非常に動きやすいのが特徴です。素材は主に無地の布が用いられ、白が一般的ですが、ベージュ、茶色、オリーブ色、くすんだブルーグレイなど、落ち着いた色合いのものも着用されます。

砂漠地帯の民族衣装には、大きく分けて2つのタイプがあります。一つはアラブ諸国のタウブやエジプトのガラビアのようなワンピース型のもので、もう一つがこのペロン・トンボンのように上下が分かれたツーピース型です。ペロン・トンボンは、パキスタンのシャルワール・カミーズと同様に、ゆったりとしたシャツとズボンを共布で作るのが特徴です。

各パーツの詳細

ペロン (上着)：
直線断ちで仕立てられた、ゆったりとしたデザインが特徴です。
袖口の直径は約20cmとやや太めの長袖で、動きやすさを考慮した作りになっています。
襟元はポロシャツから襟の折り返し部分を取り除いたような形状で、シンプルなデザインです。
裾丈は85cm程度と膝辺りまで届くほど長く、腰の辺りまで約25cmのスリットが入っています。これにより、動きやすさが向上しています。
裾は下穿き（トンボン）の上に出して着用するのが一般的です。

トンボン (下穿き)：
股上が深く、約35cm程度で、股下は約70cmとゆったりとした作りになっています。
ウエスト部分は紐を通して調整するタイプで、非常にゆったりとした着用感です。
ペロンの胴回りが約60cmなのに対し、トンボンの胴回りはその倍ほども広いため、非常にゆったりとしています。
* 裾口の直径も約30cmと広く、締め付け感がなく、動きやすいように工夫されています。

着こなしと重ね着

ペロン・トンボンは、基本的に上下セットで着用しますが、その上からチョッキや欧州風の上着、前開きの緩やかな長衣などを羽織ることもあります。これらの重ね着によって、気温の変化に対応したり、フォーマルな場に対応することが可能です。

まとめ

ペロン・トンボンは、アフガニスタンの男性にとって、日常着としてだけでなく、特別な場でも着用される重要な民族衣装です。そのシンプルながらも機能的なデザインは、砂漠地帯の過酷な環境下で生活する人々の知恵と工夫が詰まっていると言えるでしょう。この衣装は、単なる衣服としてだけでなく、アフガニスタンの文化や歴史を象徴する存在として、今日まで受け継がれています。

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