ペンシルベニア (装甲巡洋艦)

アメリカ海軍の装甲巡洋艦：ペンシルベニア (USS Pennsylvania, ACR-4)

「ペンシルベニア」は、アメリカ海軍が保有していた装甲巡洋艦で、ペンシルベニア級に属します。この艦名は、アメリカの州ペンシルベニアに由来し、同名の艦としては二隻目の艦船です。

艦歴の始まり

「ペンシルベニア」は1901年8月7日にフィラデルフィアのウィリアム・クランプ・アンド・サンズ社で起工しました。進水は1903年8月22日で、艦名はコラール・キーによって命名されました。そして、1905年3月9日にトーマス・C・マクリーン大佐の指揮の下、ようやく就役を果たしました。

就役後、「ペンシルベニア」はアメリカの東海岸やカリブ海で活動し、1906年にはアジアステーションに向けて航海を始めました。1907年には西海岸に帰還し、その後ペルーとチリを訪問するなど、国際的な任務にも従事しました。

航空母艦時代の先駆け

1911年1月18日、航空観測の歴史的な出来事として、ユージン・バートン・イーリーが操縦する飛行機が艦尾の木製飛行甲板に着艦し、またそこから発艦にも成功しました。この出来事は、海軍航空と航空母艦の時代の始まりを示す記念すべき瞬間でした。

その後、1911年から1913年までの間、「ペンシルベニア」はピュージェット・サウンドで予備役状態となり、海軍民兵の訓練を担当しました。1912年には新艦「ペンシルベニア」の名称が別の戦艦に譲渡され、「ピッツバーグ (USS Pittsburgh)」と改名されました。

メキシコと第一次世界大戦

改名後の「ピッツバーグ」は、メキシコの不安定な政情を考慮して西海岸を巡り、1914年4月にはベラクルスに上陸したアメリカ軍の重要な支持艦として機能しました。第一次世界大戦中には南アメリカでの偵察任務に従事し、イギリス海軍と協力してドイツ軍への偵察活動を行い、アメリカの太平洋の脅威に対抗しました。

この艦は地中海東部においても、アメリカ海軍部隊の旗艦として重要な役割を果たし、1919年にはアドリア海、エーゲ海、黒海を巡航して人道支援の活動に従事しました。

ヨーロッパとアジアへの展開

1920年6月、「ピッツバーグ」はフランスとイギリスの港を訪れ、バルト海を巡航後に帰国しました。その後、1922年に再就役し、ヨーロッパ方面軍の旗艦として再び地中海へ赴き、その後はアジア艦隊の旗艦としての任務にも就きました。

1931年には、上海での権益を保護する任務を担い、その後もフィリピン、サイゴン、バンコクなどを訪問しました。 1931年には、メリーランド州のユニオン・シップビルディング社にてスクラップとして売却されることとなりました。

結び

「ピッツバーグ」の艦首飾りは、ペンシルベニア州のカーネギーメロン大学に展示されており、艦船の歴史的な役割を物語る大切な文化財として位置づけられています。

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