ペンシルベニア美術アカデミー

ペンシルベニア美術アカデミー(PAFA)の歴史と魅力

ペンシルベニア美術アカデミー(Pennsylvania Academy of the Fine Arts, PAFA)は、アメリカ合衆国フィラデルフィアに位置する由緒ある美術団体です。1805年の設立以来、アメリカで最も歴史のある美術学校および美術館として、アメリカ美術の発展に多大な貢献を果たしてきました。

設立と初期の歩み

PAFAは、愛国者にして肖像画家としても名高いチャールズ・ウィルソン・ピールを中心とした71人のフィラデルフィア市民によって設立されました。設立の目的は、アメリカ市民に優れた絵画や彫刻を提供することにより、アメリカ美術の進歩を促すことにありました。興味深いことに、初期の設立会員の多くは芸術家ではなく、芸術を支援する市民でした。ピール自身と、彫刻家のウィリアム・ラッシュなど、わずか数名の芸術家のみが設立会員に含まれていました。

1807年には美術館が開設され、1811年には最初の展覧会が開催され、500点もの絵画や彫刻が展示されました。美術教室は、1810年に「芸術家クラブ」によってアカデミーの建物内に開設されました。初期の運営は、芸術に造詣の深い専門家というよりも、政治家など芸術分野の素人によって担われていました。初代会長は、ペンシルベニア州から大陸会議の代表を務めたジョージ・クライマー、その後継者は下院議員のジョセフ・ホプキンソンでした。版画家のジョン・サーテインが館長を務めた1850年頃が、初期においては例外的な時期と言えるでしょう。

美術学校としての教育も当初は、公式な教師を置くことなく、美術家同士が互いに学び合うという、独特な形態でした。1876年にフランス人画家クリスチャン・シュセーレが初めて教授として迎えられたことで、本格的な美術教育が始まりました。

飛躍の時代と教育改革

1845年の火災の後、より充実した施設の必要性から、多くの寄付金が集まりました。1871年から新校舎の建設が始まり、1876年のフィラデルフィア万国博覧会に合わせて開館しました。

この1876年という年は、PAFAにとって転換期となりました。卒業生でパリ留学経験を持つトマス・エイキンズが教授として着任し、シュセーレの死後、教授職を継承しました。さらに1882年には、エイキンズが校長に就任。彼はアカデミーの教育を大きく革新しました。特に、女性美術家の入学を1876年から認めたことは画期的でした。当時としては非常に進歩的な取り組みと言えるでしょう。しかし、1885年には、女性学生のいるクラスで男性ヌードモデルを描かせたことを問題視され、エイキンズはアカデミーを解雇されるという出来事がありました。

1811年から1969年まで定期的に開催された展覧会では、多くの作品がPAFAによって購入され、美術館としてのコレクションも充実していきました。1892年から1905年まで校長を務めたモリスは、同時代の画家の作品を積極的に収集し、PAFAの美術館としての財産を築き上げました。

PAFAの今日

PAFAは、歴史と伝統を誇る美術学校・美術館として、現在もアメリカ美術界の中核を担っています。初期の素人による運営から、エイキンズらによる教育改革を経て、PAFAは独自の教育システムと貴重なコレクションを形成し、数多くの著名な芸術家を輩出しました。その歴史と教育、そしてコレクションは、アメリカ美術史において重要な位置を占めています。PAFAの未来における活躍も期待されます。

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