ペーター・ダム

ペーター・ダム

ドイツを代表するホルン奏者の一人、ペーター・ダム（Peter Damm）は、1937年7月27日にドイツ中部のテューリンゲン州、マイニンゲンに誕生しました。

音楽的基礎とホルンへの道

幼少期より音楽に親しみ、11歳の時にヴァイオリンのレッスンを開始。これが彼の音楽人生の第一歩となります。その後、1951年にはホルンへと楽器を転向し、本格的な研鑽を積み始めました。同年にヴァイマルのフランツ・リスト音楽大学に入学。1957年までの約6年間、高名なカール・ビーリッヒ教授のもとでホルンの演奏技術と音楽理論を深く学びました。この専門的な教育期間が、後に彼が世界の舞台で活躍するための強固な基盤を築き上げました。

ドイツ名門オーケストラの首席奏者として

大学卒業後、ペーター・ダムはその卓越した才能と熟練した演奏能力を認められ、ドイツ国内の著名なオーケストラで首席ホルン奏者としてのキャリアを歩み始めます。

1959年、長い歴史と豊かな伝統を持つライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席ホルン奏者に就任。ここで彼は約10年間、オーケストラの重要なパートを担い、アンサンブルに不可欠な存在として数多くの演奏会や録音に参加しました。

さらなる飛躍を遂げたのは1969年です。世界最古のオーケストラとして名高いシュターツカペレ・ドレスデンに首席ホルン奏者として迎え入れられました。シュターツカペレ・ドレスデンでは、彼は30年以上にわたりこのポストを務め上げました。その間、温かく深みのある響きと揺るぎない安定した演奏は、楽団の特色である「ドレスデン・サウンド」を形作る上で極めて重要な役割を果たしました。数多くの伝説的な演奏会や録音を通じて、彼のホルン演奏は世界中の音楽愛好家を魅了し、シュターツカペレ・ドレスデンの黄金期をその音色で支えました。

後進の指導者として

ペーター・ダムは、演奏活動と並行して音楽教育にも深い情熱を注ぎました。シュターツカペレ・ドレスデン在籍中は、同じくドレスデンにあるカール・マリア・フォン・ウェーバー音楽大学で長年にわたり教鞭を執り、若い世代のホルン奏者を熱心に指導しました。彼の指導のもと、多くの才能ある音楽家が育ち、国際的な舞台で活躍しています。

また、彼は国内外で開催される主要な国際音楽セミナーにも講師として頻繁に招かれました。自身の豊富な経験と高度な技術、深い音楽理解を惜しみなく次世代に伝え、世界のホルン教育界にも多大な貢献を果たしました。

引退と栄誉

2002年、ペーター・ダムは長年の功績を称えられつつ、シュターツカペレ・ドレスデンの首席ホルン奏者の任を退きました。楽団は彼の長きにわたる献身と貢献に敬意を表し、名誉団員の称号を贈りました。

ペーター・ダムは、ドイツのホルン演奏の伝統を現代に継承し、その卓越した演奏家・教育者としての活動を通じて、世界の音楽界に消しがたい足跡を残した偉大な音楽家です。

公式サイト

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