ペーター・ヴィンター

ペーター・ヴィンター

ペーター・ヴィンター（Peter Winter、またはPeter von Winter、1754年 - 1825年10月17日）は、18世紀後半から19世紀初頭にかけて活動したドイツの作曲家です。

生涯

マンハイムに生まれた彼は、幼い頃からヴァイオリンの才能を遺憾なく発揮し、たちまち神童として注目を集め、故郷の宮廷楽団で早くから演奏しました。音楽の研鑽を積むため、ウィーンでは当時最高の教師の一人と目されていた高名なアントニオ・サリエリに師事しました。この学びが、後の彼の作曲家としてのキャリアに大きな影響を与えたことは想像に難くありません。

1778年にミュンヘンへ本拠地を移し、新たな活動の場として当地の宮廷劇場ディレクターに就任しました。この要職に就いたことで、この頃からオペラやバレエ音楽など、劇付随音楽の創作に本格的に取り組み始めます。宮廷内での地位も着実に上がり、1787年には副楽長、そして1798年にはついに宮廷楽長にまで昇り詰め、その栄誉ある地位を生涯にわたって保持しました。

ヴィンターの創作活動において特筆すべきは、オペラ作品の多さとその成功率の高さです。1778年から1820年にかけて作曲された30作以上のオペラのうち、聴衆や批評家から厳しい評価を受けたものは極めて少なかったと伝えられています。

彼のオペラ作品の中で最も広範な人気を博し、今日でもその名を知られるのは、疑いなく『中止された奉献祭』（Das unterbrochene Opferfest）でしょう。この作品は1796年にウィーンで初演され、大きな成功を収めました。また、1797年から1798年にかけて、ヴィンターはウィーンにおいて、稀代の興行師であり、モーツァルトの有名なオペラ『魔笛』の台本作家としても知られるエマヌエル・シカネーダーと共同でオペラを創作しました。これらは『バビロンのピラミッド』（Die Pyramiden von Babylon）と『迷宮』（Das Labyrinth）です。

1798年にミュンヘンへ戻った後も、ヴィンターは創作意欲を失わず、国外での活動も行いました。1803年にはロンドンを訪れ、『La grotta di Calipso』などを発表し、現地でも聴衆や評論家から熱狂的な歓迎を受け、大きな成功を収めました。

ヴィンターの作品の中で、現代においておそらく最も高い知名度を持つのは、1817年に発表されたオペラ『マホメット』（Maometto）でしょう。この作品は時折上演される機会があり、優れた録音も存在することからも、その音楽的価値の高さがうかがえます。作曲家としての晩年、最後のオペラ作品となったのは『歌手と仕立て屋』（Der Sänger und der Schneider）で、これは1820年にミュンヘンで初演されました。ヴィンターはその後約5年間ミュンヘンで過ごし、1825年10月17日にこの地で波乱に富んだ、しかし成功に満ちたその生涯を閉じました。

劇音楽の分野で揺るぎない名声を確立したヴィンターですが、彼の創作は決してそれだけに留まりませんでした。彼は室内楽曲や、驚くべき数である26曲ものミサ曲を含む数多くの宗教音楽も作曲しており、幅広いジャンルでその才能を発揮しました。

主要作品

ヴィンターは多岐にわたる作品を生み出しましたが、特に以下の作品が知られています。

オペラ

Lenardo und Blandine（1779年）
Der Bettelstudent （1785年）
Jery und Bäteli （1790年）
Das unterbrochene Opferfest（中止された奉献祭）（1796年）
Die Pyramiden von Babylon（1797年）
Das Labyrinth （1798年）
La grotta di Calipso（1803年）
Il ratto di Proserpina（プロセルピーナの略奪）（1804年）
Maometto（マホメット）（1817年）

バレエ

Pyramus und Tisbe（1779年）
La mort d'Hector （1779年）
Die Liebe Heinrichs IV. und der Gabriele oder Die Belagerung von Paris（1779年）
Ines de Castro（1780年）
Vologesus (Il trionfo della verità)（1786年）
* La mort d'Orphée et d'Euridice （1792年）

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