ペーパー・ムーン

もくじ

• - 概要
• - あらすじ
• - キャストとスタッフ
• - 受賞歴とトリビア

概要

『ペーパー・ムーン』（Paper Moon）は、1973年に制作されたアメリカの映画で、監督はピーター・ボグダノヴィッチです。本作はジョー・デヴィッド・ブラウンの小説『アディ・プレイ』を原作としており、日本語翻訳版では『ペーパームーン』というタイトルで知られています。映画は大恐慌期のアメリカ中西部を舞台に、聖書を売り歩く詐欺師と、母を交通事故で失った少女との間に芽生える絆を描いたロード・ムービーです。シンプルな脚本でありながら、その普遍的なテーマが観客に深い感動を与える作品となっています。

この作品は、ライアン・オニールと彼の娘であるテータム・オニールが共演しており、父娘のリアルな関係が映画の中でも観察されます。公開当初、年間興行収入のトップを記録し、1973年の第46回アカデミー賞ではテータム・オニールが史上最年少の助演女優賞を獲得しました。

あらすじ

時は1935年、大恐慌が続くアメリカ中西部。詐欺師モーゼは、聖書を売りつけて小金を得る日々を送っていました。そんな彼の元に、交通事故で母を亡くした9歳の少女アディが現れます。アディの伯母がミズーリに住んでいるため、モーゼに頼んで彼女を送り届けてもらうことになりますが、モーゼは事故による慰謝料200ドルをアディのためにせしめようとしました。しかしアディはこの金が自分のものだと主張し、二人は一緒に旅をすることになりました。

アディは非常に頭が良く、モーゼが詐欺を働く際には相棒として活躍します。そして、旅の途中でダンサーの女性トリクシーが加わると、アディは彼女に嫉妬し、二人の関係を引き裂こうとします。彼女はトリクシーの付き人の協力を借りて、モーゼとトリクシーを引き離すことに成功します。

しかし、運命は彼らをさらなる試練へと導きます。酒の密売人に対して詐欺を仕掛けた際、保安官に捕まってしまい、一計を案じて逃走に成功したものの、ひたすらついて回る問題に頭を悩ませます。最終的にはアディの伯母の元へたどり着くも、二人の関係は決して簡単には解決されません。ラストシーンでは、アディが再びモーゼの元へ駆け寄り続けたいと訴える様子が描かれますが、モーゼは彼女を薄情に拒まざるを得ません。

この物語は、特には未熟でありながら強い意志を持った少女アディと、人生の波に翻弄される詐欺師モーゼとの心温まる交流が観る者に感動をもたらします。親子の血を引く二人の演技が、ドラマティックでリアルな親子の絆を映し出しています。

キャストとスタッフ

映画はピーター・ボグダノヴィッチ監督が製作・共同製作を行い、以下のメインキャストが出演しています：

• - モーゼ（ライアン・オニール）
• - アディ（テータム・オニール）
• - トリクシー（フィオナ・フラガート）
• - イモジン（ルビー・ダーベンポート）

主要なスタッフには、脚本を担当したアルヴィン・サージェント、撮影監督ラズロ・コヴァックスが名を連ねています。

受賞歴とトリビア

『ペーパー・ムーン』は、第46回アカデミー賞で助演女優賞をテータム・オニールに与え、その記録は未だに破られていません。また、1973年の第31回ゴールデングローブ賞にもおいて、彼女は有望若手女優賞を受賞しました。

この映画は、原作のタイトルが『アディ・プレイ』であったため、監督が新たに名付ける際に困難を伴い、『ペーパー・ムーン』とすることで最終的に許可されました。このタイトルは劇中挿入歌である「It's Only a Paper Moon」からの引用でもあります。

モノクロ映画として製作された本作は、金髪で青い目を持つ主演二人の姿が当時の大恐慌期にマッチしないため隠す意図がありました。また、エンディングのシーンは偶然見つけた場所から発想を得ており、角度から撮影されたカット割りが多く使われています。

『ペーパー・ムーン』は1974年にテレビシリーズ化もされましたが、わずか数ヶ月で終了しました。後に多くのスタッフや出演者が別のプロジェクトでもコラボレーションをしています。作品は今もなお、映画史に残る名作として語り継がれています。

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