ペール・レーフリング

ペール・レーフリング：リンネの使徒、南米に散った博物学者

ペール・レーフリング（Pehr Löfling, 1729年1月31日 – 1756年2月22日）は、18世紀のスウェーデンを代表する博物学者の一人です。「リンネの使徒たち」と呼ばれる、カール・フォン・リンネの薫陶を受けた学者の一人として知られています。現在のベネズエラでの探検調査中に病に倒れ、27歳という若さで生涯を閉じました。

生い立ちとリンネとの出会い

レーフリングは、スウェーデンのヴァルボで、事務員の息子として生まれました。当初は聖職者を目指し、1743年にウプサラ大学に入学しますが、そこでリンネの指導を受け、植物学に魅せられます。リンネはレーフリングの才能を高く評価し、自身の息子の家庭教師を任せるほどでした。1749年には学位を取得しています。

スペインでの活動

1751年、スペイン王フェルナンド6世がイベリア半島の植物研究のためにリンネを招聘した際、レーフリングは同行者として選ばれました。1751年から1753年にかけて、彼は数回にわたり植物採集旅行を行い、多くの薬草や種子を収集してウプサラ大学に送りました。しかし、このプロジェクトは完成を見ることはありませんでした。この期間中に、彼はスペイン語を習得し、後の南米調査旅行に備えました。また、大西洋岸の都市エル・プエルト・デ・サンタ・マリーアに滞在した際には、漁師たちの協力を得てスペインの魚類に関する博物誌を作成するという業績も残しています。

南米探検と早すぎる死

1754年、レーフリングは現在のベネズエラ、オリノコ川流域の探検旅行に参加しました。この探検隊は、2人の医師と2人の画家を伴い、18世紀における最初の科学的な目的を持った南米探検として位置づけられています。この探検で、彼は数多くの植物や動物の標本を収集し、その一部はスペイン王立植物園で公開されています。しかし、2年後の1756年、ベネズエラのサン・アントーニオ・デ・カロニーで、志半ばにして病没しました。

没後の評価

レーフリングの死後、彼の業績はリンネによってまとめられ、1785年に『Iter Hispanicum, eller resa til Spanska Länderna uti Europa och America 1751 til 1756』として出版されました。また、リンネはナデシコ科の属にLoeflingia（レーフリング属）と命名し、彼の功績を称えました。

ペール・レーフリングは、若くして亡くなったものの、植物学、動物学における重要な貢献を残し、リンネの教えを体現した博物学者として、その名は歴史に刻まれています。

もう一度検索