ホウライシダ

ホウライシダ（蓬莱羊歯）

ホウライシダ（学名：Adiantum capillus-veneris L.）は、ホウライシダ科に属するシダ植物で、特にその美しい葉形が特徴です。この植物は温帯から熱帯の広範囲に分布し、日本では四国や九州、伊豆半島などで見られます。時には栽培されていたものが野生化して生育する例もありますが、一般には海岸や川岸の崖や石垣に自生しています。また、室内や温室で観賞用に栽培されることもあります。

形態と生態

ホウライシダは常緑性の多年草で、短い根茎を持ち、黒褐色の茎を伸ばします。茎の長さはおおよそ15センチメートルほどで、切れ込みのある扇形の小葉が互い違いに配置されています。葉は2回羽状複葉で、小羽片は扇形の形を取っており、基部が楔形で、先端が浅くまたは深く裂けている特徴があります。小葉の各裂片には、葉縁が裏側に折れ曲がった偽包膜があり、これが横に長く伸びています。胞子嚢群は葉縁が折れ返った部分に位置しています。

この植物は岩などにしっかりと固着して生育していることが多く、一般的にその特異な姿から「ヴィーナスの髪」または「ヴィーナスヘア」とも呼ばれることがあります。これらの名称は、葉の形態に由来しています。

利用方法

ホウライシダは、その美しい形状から観賞価値が非常に高く、他のホウライシダ属の植物と共に観賞用として栽培されることが一般的です。この際、「アジアンタム」という名称で知られることもあります。ただし、栽培はやや難しく、良好な排水と保水性を備えた用土や適切な湿度が必要になります。

栽培される品種には、フィンブリアツム（Fimbriatum）やインブリカツム（Imbricatum）などがあります。これらの品種は、小葉の羽片の先が独特に切れ込む特徴を持っています。

さらに、ホウライシダの葉から得られる「ホウライシダ葉エキス」には、毛髪のダメージをケアする効果があることが明らかになっており、システィンを再生する技術が開発されています。これは、ヘアケア分野での有望な利用法として注目されています。

まとめ

ホウライシダはその独特な形状と愛らしい外観から、多くの人々に親しまれている植物です。日本の特定地域に自生しつつも、その美しさから鑑賞用植物としても人気があります。お手入れが少々難しい部分もありますが、その魅力は多くの人々を惹きつけてやまないことでしょう。

もう一度検索