熱帯

熱帯（ねったい）とは

熱帯とは、地球上で赤道を挟んで緯度が低く、年間を通じて温暖な地域を指します。これは、主に地理的な位置と気候条件によって定義されます。今記事では、熱帯の特徴やその気候区分について詳しく説明します。

緯度による定義

熱帯は、北回帰線（北緯23度26分）と南回帰線（南緯23度26分）に挟まれた地域に相当します。この回帰線は、英語で「tropics」と呼ばれています。

気候区分に基づく定義

気象学者たちによると、熱帯の気候はケッペンの気候区分などで異なる定義が存在します。ケッペンの気候区分では、熱帯はAの記号で表されます。特にこの区分で言えば、次の２つの要件を満たす必要があります:
1. 最寒月の平均気温が18℃以上であること。
2. 年間降水量が乾燥限界を超えていること。

興味深いことに、熱帯が示す気候のイメージには「冬も寒くない」という側面があり、「夏に激しく暑い」という印象とは異なるわけです。たとえば、平均気温が1年中19℃で、降水量が条件を満たせば、熱帯に分類されます。

熱帯気候の特徴

熱帯地域では、熱帯収束帯と呼ばれる低気圧地帯が存在します。ここでは、日射量の多さから上昇気流が生まれ、結果的に降水量が豊富になります。このため、熱帯雨林が形成されるのです。また、熱帯収束帯は季節によって南北に移動するため、特定の地域では乾季が現れサバナ気候になることがあります。

熱帯気候区の分類

熱帯には主に以下の気候区が存在しています:

1. 熱帯雨林気候 (Af): 一年中降水量が非常に多く、60mm以上の降雨が見られ、自然の四季は存在しない。通常赤道付近に分布します。
2. 熱帯モンスーン気候 (Am): モンスーンの影響を受けており、年降水量は1000mmを超える。
3. サバナ気候 (Aw): 熱帯雨林気候よりも乾燥しており、年降水量が1000mmを下回ることもあります。

熱帯夏季少雨気候 (As)も存在しますが、この気候は非常に限られた地域に見られるため、事実上の気候区はこの3つに圧縮されます。

地球温暖化と熱帯の変化

最近の気候変動により、熱帯の分布は今後南北または高地へと広がる可能性があります。具体的には、地球温暖化が進行すれば、温帯にありながら熱帯の影響を受ける地域が増えていくと考えられています。たとえば、日本の沖縄県宮古島では、気温が上昇し、熱帯雨林気候が確認されています。温帯と熱帯の境界が流動的になる可能性があるのです。

熱帯収束帯

熱帯における気温変化は、季節によるものではなく、むしろ日中の気温変化が大きく影響します。降水量の変化がこの地域の気候に大きな影響を与えるため、熱帯収束帯（ITCZ）は特に重要です。この帯域では、上昇気流が降水量を増加させ、周囲の地域はその影響を受けて乾燥します。

参考文献と関連項目

熱帯についての深い理解を得るために、以下の文献や関連情報を参考にすることをお勧めします。

• - 矢澤大二『気候地域論考―その思潮と展開―』（古今書院、1989年）
• - 熱帯植物、亜熱帯、南日本気候、熱帯魚

熱帯の気候や分布は、私たちの身近な環境にも影響を与える重要な要素です。これからの研究や観察を通じて、さらなる理解を深めることが求められています。

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