ホテルオークラ東京

The Okura Tokyoの歴史と変貌

東京のランドマークとして知られるThe Okura Tokyo（旧ホテルオークラ東京）。帝国ホテル東京、ホテルニューオータニと並ぶ「御三家」の一つとして、その歴史は長く、数々の出来事を経て現代の姿へと進化を遂げてきました。

歴史的背景と創業

現在のホテルがある場所は、江戸時代には川越藩松平大和守の屋敷があった場所です。明治時代には政府が接収し、その後、大倉財閥の創始者である大倉喜八郎が邸宅を構えました。敷地内には喜八郎が収集した美術品を展示する私設美術館も設立され、これがのちに日本初の私立美術館「大倉集古館」となりました。

喜八郎の長男、大倉喜七郎は、父の後を継ぎ、帝国ホテル会長などを歴任。戦後の混乱期を経て、1958年、大成観光を設立し、1962年、自らの邸宅跡地に「ホテルオークラ」を開業しました。大成建設が施工を担当した本館は、高低差のある敷地に、坂上にホテルエントランス、坂下に宴会場エントランスを設けるなど、画期的な設計が特徴でした。

本館の建て替えと新たな姿

50年以上の歳月を経て老朽化した本館は、2014年に建て替えが発表されました。2016年から工事が始まり、大成建設が施工を担当。地上41階建ての高層棟「オークラ プレステージタワー」と、地上17階建ての中層棟「オークラ ヘリテージウィング」の2棟が建設されました。

建て替えにあたっては、敷地全域の都市計画公園指定という課題がありましたが、「港区公園まちづくり制度」の活用により、建て替えを実現。新設された都市計画公園を含む広大な敷地を有効に活用し、緑地や広場を整備することで、周辺環境の向上にも貢献しました。

旧本館ロビーの芸術的な価値を高く評価する声も多く、建て替え反対の声も上がりました。これを受け、ホテル側は旧本館ロビーの意匠を可能な限り再現することを決定。建築家、谷口吉生氏の設計により、旧本館ロビーの雰囲気を彷彿とさせる空間が再現され、多くの人の惜しみない賛辞を得ました。

2019年9月、新本館がグランドオープンし、「The Okura Tokyo」として新たなスタートを切りました。

別館の閉館と跡地開発

建て替え後も営業を継続していた別館は、2020年9月に営業を終了。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に貸し出された後、解体されました。跡地は、当初タワーマンションとオフィスビルが計画されていましたが、変更され、鹿島建設による地上50階建てのビル建設が計画されています。このビルには、住宅、店舗、ホテルが入る予定です。

施設概要とサービス

The Okura Tokyoは、508室の客室、複数の宴会場、レストラン、バー、スパ＆フィットネス施設などを備えています。

レストランは、フランス料理、中国料理、鉄板焼、和食など、多様な選択肢を提供。バーも、落ち着いた雰囲気でくつろげる空間となっています。宴会場は、最大2,000㎡の「平安の間」をはじめ、さまざまな規模の宴会場が用意されています。また、「オークラ スクエア」と呼ばれるホテル前庭も整備され、緑豊かな空間が創出されました。

食材表示に関する問題

2013年、ホテルオークラは、複数のレストランなどで提供された食材の表示に不備があったことを発表。虚偽表示による販売総数は約38万6千食にも上り、大きな社会問題となりました。ホテルは、信頼回復に向け、顧客への対応に追われました。

アクセス

The Okura Tokyoは、東京メトロ銀座線、南北線、日比谷線など複数の駅からのアクセスが可能で、交通の便も良好です。シャトルバスも運行されています。

まとめ

The Okura Tokyoは、歴史と伝統を受け継ぎながら、現代的なデザインとサービスを提供する高級ホテルです。建て替えによって新たな魅力を生み出し、今後も東京を代表するホテルとして、その存在感を示し続けるでしょう。しかし、食材表示の問題など、過去には困難を経験してきた歴史もあり、高い倫理観と顧客への信頼を維持することが、今後の課題となっています。

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