ホルム盾章

ホルム盾章(Cholmschild)の概要

ホルム盾章は、第二次世界大戦中にドイツ国防軍によって与えられた特別な袖用盾章の一つです。この勲章は、1942年1月から5月にかけて行われたホルムの戦いに参加した将兵に授与されました。ホルムの戦いは、ドイツ軍が赤軍に包囲された歴史的な戦闘であり、多くの将兵が困難な状況に直面しました。

創設の背景

1941年12月、ドイツ軍はモスクワ攻撃に失敗し、これを受けて赤軍は翌年の1月に大規模な攻勢を行います。その中で重要な拠点であったホルムは、1942年1月18日から赤軍および赤軍パルチザンの攻撃を受け始めました。1月21日から5月5日までの間、ホルムは赤軍第3打撃軍によって完全に包囲され、その中でテオドール・シェーラー少将が指揮する第281保安師団が駐屯していました。

シェーラー少将の指導のもと、彼の部下たちは「シェーラー戦闘団」を組織し、航空機による物資投下を受けるなどしながら、状況が改善されるまで戦い続けました。

制定と授与の経緯

ホルム盾章の授与の草案は、包囲下にあった第65予備警察大隊の兵士たちによって考案されました。シェーラー少将はアドルフ・ヒトラー総統と初めて会う際にこの草案を提出します。ヒトラーは最初は決定を保留しましたが、シェーラーは迅速に承認を求めました。このやりとりは、部隊の士気を高めるために意義のあるものとされました。

その後、草案はミュンヘンのリヒャルト・クライン教授によって修正を受け、1942年7月1日には初めての勲記が発行されました。7月15日、陸軍および空軍の上層部がこれを承認し、8月24日には海軍も承認しました。シェーラー少将およびその代理人は1944年1月30日までに約5500名にこの章を授与しました。

デザインと使用法

ホルム盾章のサイズは38mm × 65mmで、裏面には台布を固定するための3本のピンが設けられています。デザインは、中央に国家鷲章が据えられ、その下に「CHOLM」と「1942」の文字が刻まれています。この盾章はわずかに湾曲しており、立体感が与えられています。

ホルム盾章は軍服の左上腕に着用され、党や国家機関の制服にも許可されている他、平服では16mmのピンバッジ形式であれば左襟に着用可能です。複数の盾章を受章している場合は、最初の1つを左袖の袖ぐりから約7cmの位置に取り付け、その後は0.5cmの間隔で続けて取り付けることになっています。

その他の情報

1957年に制定された法律によれば、ナチス・ドイツのシンボルである鉤十字を削除すれば、今もなおホルム盾章を着用することが可能です。このように、過去の栄光を称える一方で、現代においてもその意味合いが変わらず引き継がれています。

参考文献

• - Kurt-G. Klietmann著「Auszeichnungen des Deutschen Reiches 1936–1945」に関する情報

このように、ホルム盾章はドイツ国防軍の歴史における重要な一片として、多くの将兵の記憶とともに今も語り継がれています。

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