ホワイトスペース (電波)

ホワイトスペースの概要と活用の動向

ホワイトスペースとは、特定の電波利用サービスのために与えられた周波数帯のうち、使用されていない部分を指します。具体的には、これらの周波数帯は他の通信と干渉しないよう設計されており、利用免許は与えられているものの、能動的に使用されていない領域です。近年の無線通信の利用状況が増加する中、このホワイトスペースの効果的な利用が求められています。

アメリカの動向

アメリカでは、携帯電話などの移動体通信の需要が高まり続けていますが、同時に未使用の周波数帯も存在します。2008年11月、米国の連邦通信委員会（FCC）は、空いている7つの周波数帯域について無免許での利用を許可する方針を発表しました。これにより、ユーザーは利用がない場合に限り、指定された周波数帯を自由に使用できるようになります。

また、近い将来にはMobile WiMAXやLTEを利用した新たな無線端末機器が、ホワイトスペースの情報を得ることで、さらに広い周波数帯域を活用できる展望が期待されています。特に、米ブロードコム社はこの電波の空き情報に関する標準をIEEE 802で策定しようとしており、早ければ2011年にも無線端末の登場が見込まれています。

日本の動向

日本においても、ホワイトスペースの利用推進が進められています。2009年の12月に総務省が発足させた「新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム」では、ホワイトスペースを含む電波の活用策について検討が始まりました。2010年8月に公表された報告書では、UHFテレビ放送帯（470 - 770MHz）内に「ホワイトスペース特区」を創設する提案がなされました。この特区は、国家的なホワイトスペースの活用を目指す取り組みとして、先行モデルとして10件が選定されたのです。

9月には、全国展開を目指して「ホワイトスペース推進会議」が開催され、特区に関する提案の募集も開始されました。2011年には、ホワイトスペース特区として25件が正式に決定され、六本木ヒルズを拠点とする地上デジタルテレビ放送の試験局が稼働し始めました。さらに同年7月、東北地方太平洋沖地震の影響を受けた南相馬市ではホワイトスペースを利用して災害関連情報を配信する試験局が認可され、「南相馬チャンネル」として放送が開始されました。

2012年の4月には、この取り組みの成果をもとに狭小地域向けのエリア放送が制度化されました。また、携帯電話の普及に伴って周波数が逼迫している現状を受けて、特定ラジオマイクの800MHz帯の利用は2019年までに制限され、代わりにテレビのホワイトスペース帯を利用する方針が決定されました。

結論

ホワイトスペースは、今後の無線通信の発展において大きな可能性を秘めています。アメリカと日本双方での取り組みが進められ、通信インフラの効率的な利用促進が期待されています。これにより、将来的には通信環境のさらなる向上が見込まれます。

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