ブロードコム

ブロードコム Inc.

ブロードコム（Broadcom Inc.）は、無線通信およびブロードバンド向けの半導体製品やソフトウェアを製造・販売するファブレス企業です。米カリフォルニア州サンノゼに本社を構え、世界中で幅広い事業を展開しています。

歴史

ブロードコムの起源は1991年に遡ります。当時、UCLAの教授であったヘンリ・サミュエリとその教え子であるヘンリ・ニコラスがカリフォルニア州ロサンゼルスに設立した会社から始まりました。1995年に本社をアーバインに移し、1998年にはNASDAQに上場し、がブロードコムは急成長を遂げました。2009年にはフォーチュン500にランクインし、15か国以上で約1.1万人の従業員を抱える企業へと成長しました。

2016年、ブロードコムはアバゴ・テクノロジーによって買収され、社名を「ブロードコム」（Broadcom Ltd.）に変更しました。以降、ブロケード コミュニケーションズ システムズやCAテクノロジーズ、シマンテックなどの企業を相次いで買収し、事業領域を拡大しています。

主な製品

ブロードコムの製品ラインナップは多岐にわたります。企業向けや都市向けの高速ネットワーク用機器から、一般消費者向けのWi-FiやBluetoothコンポーネントまで、さまざまな用途に対応しています。特に、エンタープライズネットワーク向けに提供されるイーサネット用ICや無線LANの送受信ICは高い評価を受けています。

また、携帯電話やDSL、ケーブルモデム、サーバなど幅広いジャンルに対応した製品を手がけています。ブロードコムの技術はAppleやヒューレット・パッカード、モトローラ、IBM、任天堂などの大手企業にも採用されています。

サイバーセキュリティとソフトウェア事業

近年、ブロードコムはSymantecの法人向け事業を買収し、サイバーセキュリティ分野への進出を図っています。現在、エンドポイントセキュリティやWEBセキュリティといったソリューションを提供しており、売上の約30%を占めています。将来的にはこれを50%に拡大する方針としています。

生産体制

ブロードコムはファブレス半導体企業であるため、自社での生産は行っておらず、アジアのファウンドリに製造を委託しています。これにより、コストを抑えつつ高品質な半導体を提供しています。製造パートナーにはTSMCやGLOBALFOUNDRIES、SMICといった著名な企業があります。

企業買収と戦略

この数年で、ブロードコムはしばしば企業買収を行い、新たな市場への参入を果たしています。2011年にはNetLogic Microsystemsを37億ドルで買収し、2016年にはVMwareを約610億ドルで買収する計画を発表しました。これにより、仮想化技術においても存在感を示しています。

オープンソースとの関係

オープンソースに対するアプローチも取られており、いくつかの無線LANチップに対するオープンソースドライバがLinuxカーネルに含まれています。しかし、一部ではGPLライセンスに関する問題が指摘されることもあり、注目を集めています。

まとめ

ブロードコムは進化を続ける半導体業界で、通信インフラ向けに革新的な製品を提供しています。買収や事業拡大により、市場での競争力を高め、今後も成長が期待される企業です。

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